日銀・黒田総裁会見9月22日(全文1)感染症リスクの低下につれて消費も回復
気候変動対応オペ、どういった効果を見込むのか
日本経済新聞:日本経済新聞の斉藤と申します。よろしくお願いいたします。大きく2点ございます。1つ目が本日決定した気候変動対応オペの詳細を決めたと思うんですけれども、これについてどの程度の利用を見込んでいらっしゃるかということと、総裁としてどういった効果を見込んでいらっしゃるかということをあらためてお伺いいたします。 2つ目が、冒頭の質問にもあった中国恒大についてなんですけれども、これを過剰債務の問題と捉えた場合に、これが本当に中国の、かつ一企業の特殊な事例なのか、氷山の一角なのかという問題もあろうかと思います。また、世界の金融緩和とか、景気を支えている一方でこういった過剰債務を膨らませるという、なかなか悩ましい問題もあろうかと思いますけれども、そういったバランスというところについて、総裁がどのようにお考えになっているのかと、当局がどういった、こういった金融緩和の継続と債務の抑制というか、発散を抑えるということについて、どのように取り組むべきとお考えなのかというところについてご見解を伺えればと思います。よろしくお願いします。 黒田:最初のご質問につきましては、どういったシステム、形で行うかということはかなり詳しく書かれておりますので、それでご理解いただけると思いますけども、これに沿ってどのくらい利用があるかと、具体的にどのくらいの規模の気候変動対応オペが実施されるかということにつきましては、これはあくまでも企業、金融機関の対応に懸かっているわけですし、まだ気候変動対応というのがある意味では始まったばかりということですので、いきなり巨額のものが出てくるとは思いませんが、基本的にこれは非常に長期的に必要となる投資であり、長期的に必要になる融資であると。
温暖化ガスの排出削減が最も重要な効果
それをバックファイナンスするということですので、当面10年間続けることになっておりますので、最終的にはかなりの規模になると思っていますが、今年の12月の最初のオペのときの規模が非常に大きなものになるということは考えておりません。 なお、その効果につきましては、これはまさに、一方で政府は2030年までに温暖化ガスをほぼ半減し、それから2050年までに温暖化ガスの排出をゼロにするという目標を立てて、さまざまな施策を展開していかれるというふうに思いますので、あくまでもこの気候変動対応オペによって、具体的に金融機関が融資をして、企業がそういった気候変動、温暖化ガスの排出を削減するようなプロジェクトを実行していくということで、まさに温暖化ガスの排出が削減されるということが最も重要な効果だと思います。 もちろん、この制度がなくても政府の政策とか、それからさまざまな市場からの影響によって、気候変動対応の投資は行われるとは思いますけども、このシステムがそれをかなり後押ししてくれるという効果があるのではないかというふうに期待をしております。 2番目の中国恒大の影響うんぬんということについては、現時点でこれが俗に言うコロナ禍の下での企業債務の増大のもたらす問題の一例だというふうには考えていません。これはあくまでも中国の不動産業、これはご承知のようにかなり長い期間にわたって規模が大きくなってきているということの中で、この特定企業についても債務がかなり膨大なものになっているということですので。 取りあえずは、この企業の問題であり、仮に同様の問題がありうるとしても、それはあくまでも中国の不動産業の問題だと思っておりまして、先進国やいろんな途上国を見ましても、不動産が非常に急激に拡大しているという国もありますし、不動産価格が上昇している国も外国にありますけれども、全てがそういうわけでもありませんし、これはあくまでも当該企業、そして中国の不動産業の問題として捉えるのが適切ではないかなと。 ただ、もちろん先ほど申し上げたように、何かをきっかけにして国際金融市場への影響というものが出てくるかどうかということは注視していかなければならないと思いますけども、今の時点でそういった全体の問題になるというふうには考えておりません。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見9月22日 全文2へ続く