日銀・黒田総裁会見9月22日(全文1)感染症リスクの低下につれて消費も回復
経済全体の回復は比較的順調
ただ、今の高い成長率、米中、それからヨーロッパもそうですけど、見られる高い成長率は昨年の落ち込みからの回復で、前年比で高めの成長率が出ているわけですので、IMFの見通しでもあるように、2022年とか2023年も2021年と同じような高い成長率ではないとは思うんですけども。それでも米国経済、すでにコロナ感染症流行前の水準を回復していますしですね。外需については引き続き比較的しっかりしているのではないかなというふうに思っております。成長率自体はさっき申し上げたように来年、再来年と成長率は下がっていくと思いますけども、経済全体の回復というか、そういうものは比較的順調というふうにIMFや国際機関もみていると思います。 そうした中で日本の内需につきましては先ほど来申し上げているとおり、企業部門は比較的しっかりしているんですけども、家計の消費がなかなか回復してこない。特に対面型サービスを中心にですね。これは基本的にはコロナ感染症の流行に対して、緊急事態宣言とかまん延防止措置とかなんかが取られていることもありますし、国民全体が非常に外出とか外食を抑制するということで消費が弱くなっているということですので、基本的に多くのエコノミストも言われているように、ワクチンの普及、あるいはその他の措置によって感染症のリスクが低下していくにつれて消費も回復していくだろうというふうに思っております。 これは2番目の点とも関連するわけですけども、家計のほうに企業の比較的順調に回復していることの効果が及んでないんではないかというご意見ですけど、これはご案内のとおり日本の場合は欧米の場合と違いまして、昨年来、このコロナ感染症の関係で生産とか何かが落ち込んだときも、企業は雇用を維持したわけですね。
コロナの収束につれて消費も力強くなる
ですから雇用という面では比較的しっかりしているわけですけども、賃金という面では確かに昨年来、ベアは依然として続いていますし、賃金の上昇はあるんですけれども、それは比較的小幅にとどまっているということはあると思います。ただ、それが消費の弱さを説明するっていうか、その主たる原因であるとは思いません。 というのは、いろいろな形で貯蓄がすごく増えているわけですね。だから収入が落ち込んでとか足りなくて消費できないというのではなくて、いろんな形で、政府の支援とか、その他もあって、それから雇用も確保されているということもあって、家計の収入はそれなりにあっても消費に回らないということで、やはりコロナ感染症に対する国民の非常に慎重な行動ということが消費を抑制している。特に今は対面型サービス、外食、宿泊等を抑制しているということだと思います。 従って、それが収束されるにつれて、俗に言う強制貯蓄とか、貯蓄がこんなに増えちゃっているから、それがわっと出てきて、ペントアップディマンドで、すごい消費が爆発的に拡大するとまでは言えませんけれども、ペントアップディマンドという面ではあると思いますし、コロナ感染症が収束するにつれて、やはり消費も力強くなっていくというふうに考えております。