50歳時点で貯蓄が「1000万円」あります。「富裕層になった」と思ってよいでしょうか?
50歳にもなると、昇進や勤続年数の長期化によって収入が増えて、貯蓄が増えてくるでしょう。子どもが独立することなどもあるかもしれません。そんなとき、貯金の桁が1つ繰り上がり、1000万円の大台に乗ったとしましょう。この場合、「富裕層になった」といえるのでしょうか。確認していきます。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
平均的な貯蓄額ってどれくらい?
貯蓄の額は、世帯ごとに大きく異なることが予想されます。そして「富裕層」といえば、そこから大きく外れた額の貯蓄を有している方が該当するといえます。 もし、この「富裕層」という言葉について、「全年齢の平均より多くの貯蓄を有している層」という定義の下で考えるのであれば、1901万円以上持っていれば「富裕層」だといえそうです。 総務省統計局の「家計調査報告」によれば、2022年次における貯蓄現在高の平均額は1901万円とされているからです。また、中央値は1168万円になっています。 ちなみに、「富裕層」という言葉は、日常生活を送る中で耳にすることが多いですが、明確な定義があるわけではありません。そのため、具体的に何円の資産があれば「富裕層」となるのかは、各メディアや報道機関、書籍やデータなどで、異なった定義で使用されています。 1つ挙げてみるのであれば、株式会社野村総合研究所の定義があります。同社の示した定義によれば、貯金や株、保険など世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いた「純金融資産保有額」が1億円以上あれば「富裕層」といえそうです。
年齢別の貯蓄額の平均ってどれくらい?
続いて、同じく「家計調査報告」から、世帯主の年齢階級別の貯蓄額の平均についても見ていきましょう。 例えば、2022年次における世帯主の年齢が50代(50歳から59歳)の場合、貯蓄額(報告内では「貯蓄現在高」)の平均は1828万円となっています。ここから、50代では1000万円どころか2000万円近くお金をためているのが「平均的」であることが分かります。 つまり、50歳時点では貯金が1000万円あっても、「富裕層」とは言いきれないでしょう。ただし59歳までの間に、1000万円、2000万円とためることができれば、平均以上に貯蓄することができるでしょう。 また、退職金も加味すれば、平均的な貯蓄額へ追いつくことはまだ十分可能だと考えられます。 一般的に見れば、2000万円や3000万円といった大きな額での貯蓄があると、「富裕層だ」と感じる方は少なくないでしょう。そういった意味では、50歳時点で1000万円の貯蓄があれば、「富裕層」になれる可能性がまだまだありそうです。 とはいえ、株式会社野村総合研究所の定義にあるとおりの、1億円以上の純金融資産を保有しているような「富裕層」になることは難しいでしょう。