衆院解散 岸田首相が会見(全文1)今回の選挙は「未来選択選挙」
新しい資本主義実現会議を創設
併せて、コロナ後の経済社会活動を起動させる準備もしてまいります。今後、消費を活性化させるため、経済対策において、その受け皿となる企業の事業再構築に対して徹底的に支援を行います。また、Go To トラベルなどの消費喚起策については、ワクチン接種証明と陰性証明を活用して、より安全・安心を確保した制度に見直した上で再開に向けた準備を整えてまいります。新型コロナ対策と経済対策に万全を期した上で、コロナ後の新しい経済社会をつくり上げていかなければなりません。 コロナ後の新しい未来を切り開いていけるのは誰なのか、国民の皆さんにご選択をいただきたいと存じます。岸田政権は成長も分配も実現を目指してまいります。野党の言うように、分配を言うだけでは成長ができなくなり、分配するパイもなくなってしまいます。この誤りを二度と繰り返してはなりません。私は民間の活力を最大限引き出し、国際競争に打ち勝つ産業や企業を生み出すことで、力強い成長を実現してまいります。その際、単に市場や競争に任せるだけでは、成長の果実は一部の国民にしか届きません。民と官が共に役割を果たすことで温かい改革を進め、成長の果実が国民お1人お1人に幅広く行き渡る、成長と分配の好循環を実現してまいります。 そのために、新しい資本主義実現会議を創設いたします。私が議長、山際大臣が副議長となり、各界から第一人者に参画いただき、新しい資本主義のグランドデザインを描いていただきます。あす、具体的なメンバー、検討体制、検討項目を決定し、その内容をお知らせいたします。また、新しい時代を開拓するためには、デジタル改革、規制改革、行政改革を一体的に進めていくことが重要であり、デジタル臨時行政調査会を立ち上げます。これら2つの会議では、従来の発想の枠を超えた思い切った具体策を提案し、実現してまいります。
新しい資本主義は地方からスタート
科学技術の分野では、日本の抱える閉塞感を打破するため、経済対策に10兆円の大学ファンドの具体化を盛り込みます。大学側には研究と経営の役割分担を求め、優れた若い研究者が研究に専念できる環境をつくってまいります。最先端半導体の製造をほぼ独占する台湾企業の日本進出が本日発表されました。これにより、わが国の半導体産業の不可欠性と自律性が向上し、経済安全保障に大きく寄与することが期待されます。TSMCの総額1兆円規模の大型民間投資などへの支援についても、経済対策に盛り込んでまいります。 そして、何よりも大切なのは地方です。新しい資本主義は地方からスタートいたします。過疎化や高齢化といった地方の課題をデジタルを実装することで解決する、デジタル田園都市国家構想を進めてまいります。そのために5G、データセンターなどのデジタルインフラを整備するとともに、自動配送や農業の自動化など、産業のスマート化を支援してまいります。また、地方を支える農林水産業、中小企業を徹底的に支援するとともに、地方の交通インフラを整備してまいります。 分配戦略についても国民の皆さんにご選択をいただきたいと思います。岸田政権は分配を市場に全て任せるのではなく、また、国が丸抱えするのでもなく、民と官がそれぞれの役割を果たすことで国民を豊かにしてまいります。これからは雇用を増やすことに加え、お1人お1人の給与を増やしてまいります。このため賃上げ促進税制を強化するよう、政府、与党に指示をいたしました。従業員お1人お1人の給与を引き上げた企業を税制で支援してまいります。その際、控除額の上限についても大胆に引き上げます。 こうした支援策を講じつつ、産業界には私が先頭に立って給与の引き上げをお願いしてまいります。民間に賃上げをお願いする以上、政府もやることをやらなければなりません。先日訪れた都立病院で、看護師の方から現場の切実な声を伺いました。感染への不安と使命感のはざまで揺れ動きながら、それでも毎日しっかりと責任を果たしておられる姿に胸を打たれました。こうした方々が少しでも前向きに働けるよう、看護、介護、保育などの現場で働いている方の収入を引き上げてまいります。そのために私が議論をリードし、年末までに具体的な結論を出してまいります。非正規やフリーランスなども含め、働き方に中立的な勤労者皆保険の実現をはじめ、全ての方々が支え合う持続可能な全世代型社会保障の構築を進めてまいります。