どこの中銀も「物価安定が目標」日銀・黒田総裁会見7月21日(全文3完)
YCC継続の副作用をどう認識しているのか
共同通信:共同通信の【柿元 00:52:36】です。イールドカーブ・コントロールに関して、お尋ねします。金融市場ではYCCの継続が為替相場の急変を誘発したり、債券市場の機能度を低下させたりする副作用が強まっているという指摘があります。こうした副作用について、総裁の認識をあらためて教えてください。 黒田:YCCがうんぬんっていうよりも、むしろ日本と米国の金融政策の差というものが典型的に金利差に表れて、それが為替に影響してるっていうことは、今の市場の人たちはそう言ってますし、それは事実だと思いますけども、ご承知のように、為替に影響する要素としては、それぞれの成長率とかインフレとか、その他、金融市場のさまざまな動きがありますので、今の時点で市場がその名目金利差に着目してるということは事実だと思いますけども、それが何が絶対的なものでもありませんし、続くものでもありませんので、そういった状況は注視はしてますけども、何かこのYCCが必然的に円安とか為替の動きを招来するっていうことはないと思います。 それから債券市場の機能度に関しましては十分な検討をした上で、10年債の0%程度っていうものをプラスマイナス25ベーシスポイント、プラスマイナス0.25%の範囲内であれば機能度をある程度確保しつつ金融緩和を、効果を発揮させることはできるということでやっておりますので、それを超えて、どんどん機能度のためにどんどん金利を上げてしまうっていうと金融緩和になりませんので、そういうことは考えておりません。
強いインフレが長引くとの見方も出ているが
日本テレビ:日本テレビの広芝と申します。質問1点お願いいたします。輸入物価上昇について総裁が先ほどおっしゃったように国際商品市況による影響もありますけども、今、直近の輸入物価統計で見た場合、円安による影響の占める割合もどんどん大きくなっていて、そうなると今後、一部のエコノミストの間では強いインフレが長引くのではないかっていう見方も出ています。そうなると今後、消費者や企業の間で負担と不満が強まることが想定されるんですが、もしそういった状況の中で、仮に日銀の金融政策が修正や変更によって引き締め方向に動いたら、消費者や企業にとって具体的にどのようなリスクが想定されるのか、ご説明をお願いできますでしょうか。 黒田:それはもう非常に簡単でして、金融緩和の効果っていうのは金利、アベイラビリティ、為替という3つのチャンネル、特に金利が一番大きいわけですね。それで金利を上げれば当然、企業の設備投資その他に大きな影響が出てきます。従いまして金融政策として為替をターゲットにしてやるということはないということであります。 なお、輸入物価の上昇については国際商品市況の上昇の影響のほうが大きいわけですけども、確かに円安の影響も出てますが、この円安。国際商品市況の場合は交易条件の悪化を通じて必ず日本経済にマイナスになるわけですね。ただ円安の場合は輸入物価の上昇に影響するだけでなくて、輸出物価の影響も引き上げますので、交易条件を必ずしも悪化させないということで違いがあるっていうことはご理解いただきたいと思います。