どこの中銀も「物価安定が目標」日銀・黒田総裁会見7月21日(全文3完)
一時的でも政策を修正する考えはないのか
毎日新聞:毎日新聞の岡といいます。ちょっと関連した質問になるんですけれども、ベースとして粘り強く金融緩和を続けるという考え方は分かったんですけれども、商品市況とか為替とかそういう、特にお互い影響も与え合うもんですから、そういうときに国民の生活とか経済を守るために、緊急避難的とか、一時的にでもちょっと政策の修正を考えるとか、そういう考えは一切お持ちではないと言うことなんでしょうか、今の答弁からするとですね。 黒田:今の円安っていうのは実はドルの独歩高なんですね。ユーロやポンドも大きくドルに対して下落してまして。ご承知のように英国が5回、金利をすでに上げてるんですね。それからユーロも今月から金利を上げるという。そういうところの通貨も同じぐらい下落してるんです、対ドルで。 ということは、確かに円の対ドル下落のきっかけというか、それのマーケットの考え方っていうのは日米金利格差っていうのがあったと思いますけども、実際のところ世界的にドルの独歩高で、みんな為替が安くなってる。例えば隣の韓国なんか、相当金利引き上げてんですけども、ものすごい勢いでウォン安になってるということもありますので、金利をちょこっと上げたらそれだけで円安が止まるとか、そういったものとは到底考えられないんですね。ですから本当に金利だけで円安を止めようという話であれば大幅な金利引き上げになって、経済にすごいダメージになると思います。 そもそも今の為替の動きは一見、というかマーケットの人はそういうふうに思い込んでるんですけども、金利格差がって言ってるんですけども、金利格差が拡大していない英国とか韓国ですら大きく下落してまして、あまり、おっしゃったような政策が合理的にありうるというふうには考えておりません。
コロナオペをどうする考えなのか
日本経済新聞:日経新聞の小野沢と申します。新型コロナウイルスの感染再拡大が進んでいますけれども、これがもたらす影響についてお伺いしたいです。今回、コロナオペについての表現は変わっていませんけれども、コロナオペをどうしていくのか、このお考えについても教えてください。 黒田:コロナの感染症の影響っていうのはわれわれも非常に心配しております。ただ、今の状況はご承知のように非常に感染が拡大しているわけですけども、重症率が少ないということもあって、医療の体制が追い付かないっていうような状況にはなってないということで、公衆衛生上の措置を取るということになっておりませんので、経済活動と両立する形に、次第になってきているとは思っております。ただ、これは非常に不確実なことですので、今後とも十分注意していかなければならないと思っております。 コロナオペの点については先ほど申し上げたとおり、コロナ感染症の状況を見つつ、一方で確かにコロナオペの残高はずっと減少してきてるわけですけども、コロナ感染症がかなり急拡大してることもありまして、それが中小企業の資金繰りに影響が出てくると困りますし、その辺をもう少し様子を見て9月に決定するということにしたわけです。