ホンダ、「22車種」で不正行為 過去販売の「騒音・出力試験」でデータの虚偽記載 ほか4社でも発覚
「過去の22車種」で騒音・最高出力の試験で虚偽記載
ホンダは2024年6月3日、国土交通省からの型式指定申請における不正行為の有無に係る実態調査指示を受け、調査結果を同省に報告したと発表しました。 報告では、過去に販売した22車種において、不正事案があったとしています。 【画像】これがホンダの「対象車種」です 画像で見る(26枚)
国土交通省ではダイハツなどの認証不正問題があったことから、型式指定を取得している自動車メーカー85社に対し、その申請に係る不正行為の有無について調査・報告を指示しています。 今回の発表によると、ホンダでは過去に販売した22車種において、型式指定申請に必要な騒音試験および原動機車載出力試験などで、試験条件の逸脱や、試験成績書に実測値と異なるデータを記載するなどの不適切な事案があったことを確認したと言います。 対象車種と生産期間は以下の通りです。 ●騒音試験 ・インスパイア 2007年12月~2010年7月 ・フィット 2009年11月~2019年9月 ・CR-Z 2010年2月~2013年9月 ・アクティ 2009年12月~2013年9月 ・バモス/バモスホビオ 2010年8月~2013年9月 ・ステップワゴン/ステップワゴンスパーダ 2010年10月~2017年8月 ・レジェンド 2010年10月~2012年6月 ・アコード/アコードツアラー/アコードハイブリッド 2011年2月~2016年3月 ・フィットシャトル 2011年2月~2013年7月 ・インサイトエクスクルーシブ 2011年11月~2013年4月 ・CR-V 2011年11月~2013年9月 ・フリード/フリード+/フリードスパイク 2011年10月~2019年9月 ・N-BOX/N-BOXカスタム 2011年12月~2013年1月 ・N-ONE 2012年10月~2014年5月 ・オデッセイ 2013年10月~2017年9月 ・N-WGN/N-WGNカスタム 2013年11月~2019年5月 ・ヴェゼル 2018年1月~2020年7月 ・グレイス 2014年10月~2020年7月 ・S660 2015年3月~2019年12月 ・シャトル 2015年4月~2019年3月 ・NSX 2016年8月~2019年12月 ・ジェイド 2018年4月~2020年7月 ●原動機車載出力試験(ガソリン機関)、電動機最高出力及び定格出力試験 ・フィット 2013年7月~2019年9月 ・シャトル 2015年4月~2022年8月 ・フリード/フリード+ 2016年6月~2022年5月 ・ヴェゼル 2013年9月~2021年2月 ・ジェイド 2014年12月~2020年7月 ・グレイス 2015年6月~2017年5月 ・オデッセイ 2013年10月~2020年9月 ・NSX 2016年7月~2022年10月 ●原動機車載出力試験(ガソリン機関) ・フィット 2013年7月~2020年9月 ・シャトル 2015年4月~2017年8月 ・オデッセイ 2013年10月~2020年9月 ・ジェイド 2015年5月~2020年7月 この不正行為があった原因として、ホンダでは以下のように分析しています。 ●騒音試験 「試験実施後に設計変更などに伴い車両重量が変化すると再試験が発生する可能性があるが、車両重量を法規より厳しい条件に設定して試験を行うことで、騒音性能は保証できると解釈し、再試験の工数を増やさずにすむと考えてしまった」 ●原動機車載出力試験(ガソリン機関)、電動機最高出力及び定格出力試験 「試験結果が、同一諸元の原動機や電動機を搭載する機種の諸元値に未達または過達の場合、追加の解析が発生する可能性があるが、諸元値に対する差がわずかだった場合には性能のばらつきの範囲内であると考え、既に認証を取得している機種の諸元値に書き換えることで、追加解析の発生を回避し、工数を増やさずにすむと考えてしまった」 ●原動機車載出力試験(ガソリン機関) 「発電機を作動させた状態での測定が試験条件であることが、試験マニュアルに規定されておらず、補正値を用いて算出した数値が、定められた条件での試験結果と同等であるとみなし、工数を増やさずにすむと考えてしまった」 ホンダによると対象車種については、社内で技術検証や実車試験などを行い、規定された法規基準を満たしていることが確認できているため、法規に関わる完成車性能への影響はないとしています。 また、現行販売および今後販売を予定している四輪車の認証試験における不適切な事案は確認されていないことも明らかにしています。 ホンダは再発防止について、以下のようにコメントしています。 「今回の事象を重く受け止め、コンプライアンスおよびガバナンス強化の観点をふまえた再発防止に全社をあげて取り組みます。 あらためて法令順守を徹底する考えを、経営のトップメッセージとして社内に発信し、全ての従業員に対して遵法マインドの育成強化を図ります。 また、人によって異なる解釈や判断が発生しないよう、適切な業務プロセスを構築・標準化するとともに、内部監査機能のさらなる強化を図ります」 ※ ※ ※ なお、国土交通省によると、2024年5月末現在までに調査が終わっている68社のうち、ホンダに加えマツダ、ヤマハ発動機、スズキの3社でも不正行為があったとしており、現在調査を行っている17社についても、うちトヨタ自動車1社においてすでに不正行為が発覚しています。 これら不正行為があった5社に対しては、当該の車種の出荷停止および最終的な調査結果の速やかな提出、ユーザー等への丁寧な説明や対応に努めることが指示されています。
くるまのニュース編集部