なぜ女子ゴルフ”ミレニアム世代”のルーキー古江彩佳は鮮烈プロ初Vを果たせたのか…ショット精度と浜崎あゆみ効果
女子ゴルフの国内ツアー今季第6戦「デサントレディース東海クラシック」の最終日が20日、愛知・新南愛知CC美浜Cで行われ、20歳の古江彩佳(フリー)が通算15アンダーの201で前日から首位で並んでいた東浩子(28、加賀電子)とのプレーオフを1ホール目で制してプロ転向後、初優勝を果たした。優勝賞金1440万円を獲得した。 古江は、米ツアーに挑戦中の渋野日向子(21、サントリー)ら1998年度生まれの黄金世代より2学年下で、逸材が豊富なミレニアム世代と呼ばれる2000年度生まれの中心選手の一人。アマ時代に昨年10月の「富士通レディース」で史上7人目のアマ優勝を果たし注目を集めていたルーキーが鮮烈な勝利を飾った。
プレーオフ制したスーパーショット
スーパーショットだった。ツアー未勝利の東浩子と通算15アンダーで並び緊張感のあるプレーオフにもつれ込んだが、8歳年下の古江は、まったく動じない。18番(パー4)で行われたプレーオフの第1ホール。2打目を先に打った東がピン右6メートルに乗せたのに対し、古江は残り114ヤードをPWでピンそば20センチにつけた。ピンデッドに攻め、ボールはカップのすぐ手前に着弾。ワンバウンドでピンに当たるスーパーショットだった。 その鮮烈の一打は、強い気持ちから生まれた。 「プレーオフにスコアは関係ない。逃げたら負け。攻めるしかない。その気持ちがショットに生きた。手ごたえはすごくよかった。自分を褒めたい。完璧だったと思う」
東とともに首位で迎えた最終日。古江は前半で3つ、東は2つ伸ばした。後半は2人のマッチレースの様相を呈し、東が12番(パー5)でバーディーを奪い、古江に追いつくと2人のスコアは停滞した。古江は常にポーカーフェイス。落ち着いたプレースタイルは20歳とは思えない、高い熟成度を常に醸し出している。だが、内心は緊張していたという。 「攻めなきゃいけない、守らなきゃいけないという間の状況だった。攻めようとしても、守ろうという気持ちが邪魔をする。後半は特に緊張していた。だからプレーオフになるのも仕方ないと思った。バーディーチャンスにつけても決められなかったのだから」 心の葛藤は確かにあっただろう。しかし、それをおくびにも出さない。傍からは冷静にパーを重ねていたようにしか見えなかった。18番では20メートル近いバーディーパットを決めた。東が7メートルを入れ返してのプレーオフ突入。コロナ禍による無観客開催でなければ、ギャラリーの興奮も最高潮に達していたはずだ。 古江の強さの秘密はどこにあるのか。 3日間でボギーを1個も打たなかった。ボギーなし優勝は2016年「サマンサタバサ ガールズコレクション・レディース」の全美貞以来、ツアー史上8人目の快挙。前週の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」最終日の9番(パー4)から続く、連続ボギーなしホールは「64」に伸びた。 ショットの精度の高さはジュニア時代から定評があった。身長は153センチで飛距離はさほど出ない。この大会の第2ラウンド終了後には、恒例の「ドライビング女王コンテスト」に出場したが、記録は223・2ヤードで記録を残した11人の中では最下位だった。だが、古江のゴルフは「OBを打った記憶がない」と方向性重視のティーショットのあとのグリーンを狙うショットからが見せ場となる。