なぜカーリング日本代表は前日完敗のV候補スイスに“1日”で雪辱を果たし銀メダル以上を確定させたのか…決勝相手は因縁ライバルのイギリス…勝算は?
北京冬季五輪のカーリング女子準決勝が18日、国家水泳センターで行われ、平昌五輪銅メダルで世界ランキング7位の日本代表ロコ・ソラーレが、世界選手権を連覇している同2位の強豪スイスを8-6で撃破して決勝進出を決めて銀メダル以上を確定させた。 日本は1-2で迎えた後攻の第5エンドで、スキップ藤澤五月(30)がダブルテークアウトを連発。一挙に4点を奪うビッグエンドとして逆転し、先攻の第6エンドでも1点をスチール。第7エンドで3点を奪われながらも主導権を渡さず、17日の1次リーグ最終戦で4-8と完敗を喫していた優勝候補のスイスから大金星をもぎ取った。 日本は大会最終日の20日午前10時5分スタートの決勝で、スウェーデンを延長戦の末に下した世界8位のイギリスと金メダルをかけて対戦する。平昌五輪でも銅メダルを争った因縁のライバルだ。
「勝ちたいというよりチームショットを決める」
日本が史上初の決勝進出を決めるのか。それとも、スイスに追いつかれて延長戦へもつれ込むのか。最終第10エンド。運命を分ける最終投が、藤澤の手元を離れた直後に、ハウスの後方で戦況を見つめていたサード吉田知那美(30)の声が響き渡った。 「ライン、完璧!」 最初は懸命にスイープしていたリード吉田夕梨花(28)とセカンド鈴木夕湖(30)も、赤いストーンがホッグラインを越えてからは両手を休めて歩を進めながら行方を見つめる。スピード、ドローショットが描くコースともに申し分ない証だ。 直径約2.44mの白い円にある自分たちのNo.1ストーンから少しでも遠ざけようと、スイスの選手が必死にスイープを始める。しかし、ティーラインを越えた日本のストーンはその3分の1ほどを、直径約1.22mの赤い円に残した位置で止まった。 日本のスト-ンがNo.1になり、8-6でスイスを振り切った瞬間に、日本カーリング史上で初めての快挙が達成された。五輪の決勝進出。4年前の自分たちを超えた万感の思いを、ショット成功率99%という驚異的な数字をマークした吉田夕梨花が語った。 「勝ちたい、というよりも昨日のゲームよりとにかくいいショットを、チームショットをひとつひとつちゃんと決めたいと思っていました。この準決勝に立てている時点でご褒美だったので、今日は4人だけでなくことみちゃん(リザーブの石崎琴美)、コーチ、トレーナーさん全員の気持ちを背負って、みんなが一緒に氷の上に立ってくれていると感じて、本当に自分たちらしい試合ができたのかなと思っています」 準決勝の舞台を“ご褒美”だと受け止めていたのもウソではない。失うものは何もない“チャレンジ精神”がV候補のスイスにたった1日でリベンジを果たした原動力だった。