ワリエワの転倒連続4位にリピンスキー氏ら元五輪金メダリスト達が周囲の責任を追求する声…「彼女を五輪に出した大人を非難すべき」
北京五輪のフィギュア女子シングルのFSが17日、北京の首都体育館で行われ、ドーピング違反問題に揺れるSP首位のカミラ・ワリエワ(15、ROC)が、2度も転倒する“まさか”のミスを重ね4位に沈むという波乱があった。金メダルは4回転を2本成功させたアンナ・シェルバコワ(17)で、銀メダルは5本の4回転を大きなミスなく決めたアレクサンドラ・トゥルソワ(17、共にROC)。日本の坂本花織(21、シスメックス)が3位に入ったが、海外メディアは、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定で出場することができたワリエワの“涙”を大きく扱い、長野五輪金メダリストのタラ・リピンスキー氏ら、フィギュア界からは周囲のコーチらの責任を問う声が強くおきている。
海外メディアも同情的
金メダルの大本命が“自爆”した。冒頭の4回転サルコーこそ着氷したが、続く3回転アクセルでステップアウトして手をつき、その次に予定していた4回転トゥループ+3回転トゥループの連続ジャンプでは、セカンドジャンプで転倒。さらに後半最初に予定していた3連続ジャンプもファーストジャンプの4回転トゥループで転倒し、リカバリーするために入れた3回転ルッツ+3回転トゥループでもバランスを崩してしまう。まさにボロボロ状態で、フリーの得点は自身ワーストの141.93に終わり、坂本の得点に届かずメダルを逃した。 昨年12月のロシア選手権でのドーピング検査で禁止薬物「トリメタジジン」の陽性反応が出たにもかかわらずCASは世界アンチドーピング機構(WADA)が16歳以下の選手の要保護を定めていることなどもあり出場を認めた。世界中で論争が起き、様々な新事実が明らかになるなどしていた。さすがに15歳の少女が競技に集中できる状況ではなかったのだろう。海外メディアはワリエワが4位に沈んだニュースを大々的に取り上げた。 ガーディアン紙は「シェルバコワが金メダルを勝ち取り、ワリエワの五輪の夢が崩れ落ちる」との見出しを取り、「ボレロの旋律が首都体育館に鳴り響いたが、今回に限りワリエワは魔法をかけることができなかった。15歳のロシア選手は歴代最高のフィギュアスケート選手と広く認識されており、五輪の栄光が期待されていたが、この1週間の苦難と騒動は、彼女の人生で最も長い4分20秒に最悪の結果をもたらした」と伝えた。 「ワリエワにとって、心疾患に苦しむ患者の薬と一般的に言われるトリメタジジンで受けた陽性反応の問題が裁判所で解決された一方で、ただ張り詰められたフラストレーションと不安定な数週間だった」とミスにつながった原因を指摘。 またロシアオリンピック委員会の会長が「ワリエワが最終的にドーピングで資格を剥奪されることになっても、国として団体戦での金メダルを手にできるような活動に取り組みたい」と明言したことを伝えた。