なぜカーリング日本代表は前日完敗のV候補スイスに“1日”で雪辱を果たし銀メダル以上を確定させたのか…決勝相手は因縁ライバルのイギリス…勝算は?
前日のスイスとの1次リーグ最終戦。藤澤の2投を残した段階で4点差を追いつけないと認め、コンシードを宣言した。5勝4敗で終えながらも1次リーグ敗退を覚悟した4人は、試合後のテレビインタビューエリアで沈痛な表情を浮かべ続けた。 そこへ飛び込んできたのが、日本を上回る可能性があった韓国がスウェーデンに敗れたため、日本とイギリスがベスト4に勝ち残ったという一報だった。半信半疑だった4人は正式決定だと知るや、涙で震えていた声を歓喜のそれに変えた。 鈴木は「今世紀最大のサプライズ」と声をあげ、さらに「あきらめなければ神様が見てくれるのかな」と嬉し泣きした。ミスショットが続き、スイスに負けた責任を一身に抱え込んでいた藤澤は「なにこのデジャブ」とうずくまり、試合後に続いて大泣きした。 平昌五輪も1次リーグ最終戦でスイスにスコアも同じ4-8で、しかもコンシードを宣言して敗れながらも同時間帯の一戦でスウェーデンがアメリカを破ったことでベスト4に進んでいた。だからこそ既視感を覚えた藤澤は、一度はあきらめていた準決勝の舞台だからこそ、余計なものをすべて捨てて臨めたと明かしている。 「正直、昨日の試合は私のなかに迷いというものがあって、それが作戦やショットにも影響してしまった部分があった。今日は夕方ぐらいまで時間があったなかで、チームのみんなとしっかりと話し合って、気持ちをしっかりと持ってスイス戦に入れた」 弾き出された答えは、藤澤の右手に記されていた。試合ごとのテーマがいつも書き込まれる甲の部分に、スイスとの再戦ではこんな英字が躍っていた。 「BE SATSUKI ENJOY」 日本語にすれば「五月らしく楽しめ」となる英語の檄は、おそらくカナダ出身のジェームス・ダグラス・リンドコーチのメッセージだろう。さらに日本で応援するロコ・ソラーレの代表理事で、平昌五輪をキャプテンおよびリザーブで支えた本橋麻里さんは、準決勝開始前に自身のツイッター(@MariMotohashi1)を更新した。 「Yesterday is history, Tomorrow is mystery, and Today is a gift. That is why we call it “present”.『今日』というプレゼントを楽しもう」 昨日は歴史の一部となり、明日は誰にもわからないし、そして今日はギフトになる。だからこそ、私たちはそれをプレゼントと呼ぶ――という内容のツイートだ。 準決勝を“ご褒美”と表現した吉田夕梨花の思いや、藤澤の右手にも相通じるものがある。実際、藤澤は呪縛から解き放たれたかのようにスーパーショットを連発した。