子育て応援賃貸1階にフードコート!? シェアキッチンで街の住民が得意料理ふるまい、交流で子どもにも変化 「オラ・ネウボーノ」東京都墨田区
オープン後は想定外! 思った以上に地域に「ひらく場所」に
田中さんの企画は、ひとつとして同じものはなく、いつも想定外の連続。今回の「オラ・ネウボーノ」も例に漏れずぎりぎりまでプランがかたまらなかったそう。 「最初は、飲食店を入れつつも、物販やさまざまな活動ができるスペースなどを複合的に考えていました。店舗の面積が最後まで決まらなくって。ぎりぎりまで細かい部分を調整していって、最終的に異なる特徴を持った3つのキッチン(店舗)+物販ができる場所とすることに。お店の入口側から、ドリンク主体のキッチン、オーブンを備えた焼き菓子やケーキ用のキッチン、奥に食事をメインとしたキッチンとしました。お店そのものを、どう表現すべきかということも迷ったのですが、どのお店で購入したものであっても、自由な席で食べられるので、『まちのフードコート』と呼ぶことにしました」と振り返ります。
肝心なのは、場である「シェアキッチン」をどのようにして使ってもらうか、ということです。出店者の見通しはあったのでしょうか。 「オープンにあたって、数ヶ月前から何度か説明会を開きました。はじめて出店されたい方、経験者の方、仕込みだけの利用の方など、手応えはあったのですが、2024年5月のオープン時は、半分以下の稼働率で。お店が開いていない日の方が多かったです。うちは単体のお店ではなく、3つのお店があるので、出店者の方も来店者の方もそれが楽しみとなります。そのことが、少しずつ口コミで伝わっていって、出店してみたいという方が増えていきました。地域の人はもちろん、遠方からもお申し出が多いんです。個性豊かな出店が続いていきながら、多くの人に愛される場所になっています」(田中さん)
奥のキッチンCは「ちくら製作所」。水曜日、金曜日に地域の人にも人気の千葉県の魚介、野菜を活かしたラーメンが食べられます。
こうした思わぬ出来事を、田中さんはうれしそうに話します。 「自分の想定通りにするために、一生懸命、取り組む人もいますが、私は一番がんばりたいのは、自分が想定しないようなことを誰かが楽しそうにしてくれることなんです。要は思い通りにならないことを楽しみたい。そもそも思い通りにならない方がメリットがたくさんあるじゃないですか。ルールはゆるいほうがいいし。思いもつかないことを拾って、アイデアを出し合っていうのがクリエイティブだし、すごくいい。お店だって体調が悪いから今日は休みます、だっていい。人間らしさを取り戻すってそういうことだと思うんです」と田中さん。
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