子育て応援賃貸1階にフードコート!? シェアキッチンで街の住民が得意料理ふるまい、交流で子どもにも変化 「オラ・ネウボーノ」東京都墨田区
大家さんの思いで生まれた交流を育む「シェアキッチン&フードコート」
「2021年3月、『喫茶ランドリー』を知ってくださった大家さんが、二棟目の子育て応援賃貸マンション『ネウボーノ菊川Ⅱ』の1階テナント区画に『喫茶ランドリー』のように人が集まる空間をつくってほしい、とお話をくれたのがはじまりです」と田中元子さん。ただ、田中さん自身は喫茶ランドリーを増やすつもりはなく、当初は断るつもりでした。
「2018年にオープンした『喫茶ランドリー』は、地域にひらいた施設として注目されたこともあって、これまで日本中から出店しませんか、というお誘いを受けることが度々ありました。ただ、そもそも増やす気持ちはなかった上に、今回の敷地は、『喫茶ランドリー』から徒歩15分ほどだったので、同じものをつくることはお断りをしました。『喫茶ランドリー』は、グランドレベルという会社から見て『私設の公民館』と位置づけています。今回の場合は、大家である萬富(まんとみ)さん、新しく建つ『ネウボーノⅡ』から見て、『私設公民館』のような場所になるのであれば存在意義はある。新しい施設の在り方について、自分たちが求めるマンション、周囲が求める施設について、大家さんと話し合いを重ねていきました」(田中さん) 実は、子育て賃貸マンション「ネウボーノ菊川Ⅱ」を企画していた大家・萬富さんは、170年以上の歴史を持つ会社。江戸時代の材木業から不動産業に業態を変えて発展してきた下町のデベロッパーです。地域に根ざした企業のため、どこよりも街に責任を感じているのでしょう。通り過ぎられるだけの「街」の雰囲気を変えたい。できたらマンションに暮らす子育て中の親御さんたちが、周囲に暮らす人々が気軽に集まれる場所がほしいという思いがありました。 「この場所は、菊川駅から徒歩3分と立地はよいのだけれど、素通りしてしまって、立ち寄れる場所がないんですよね。せっかくであれば、引越してきた新しい住人と今まで暮らしていた人が、何か自然なかたちで同じ場所を使ってほしいと思っていました。あと、子育てマンションなので、その世代の人たちが助かる場所がいいな、というリクエストもあって。話し合いを重ねていく中で、私たちがお店をやるのではなく、いろんな方々が気軽に出店できる複数のシェアキッチンを持つフードコートなら来やすいよね、加えて物販もしたら、という形態になっていきました」(田中さん) 大家さんも企画から加わりつくりあげていき、「オラ・ネウボーノ」の賃料はシェアキッチン稼働率に応じて変動するという契約に。単なる大家とテナント運営ではなく、お互いに協力体制をつくることにしたのでした。
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