川崎Fが史上最速&2つの最多記録Vに王手…21日の大分戦勝利で結実
3日の北海道コンサドーレ札幌戦で2つ目の黒星を喫し、同一シーズンのJ1連勝記録を12で止められた。鹿島アントラーズ内で判明した新型コロナウイルス感染者と濃厚接触者がそろって欠場した、14日の前節も追いつかれて引き分けるなど、記録的な独走ペースが11月に入ってやや鈍っていた。 精神的支柱のMF中村憲剛が、40歳のバースデーゴールを決めたFC東京戦から一夜明けた今月1日に今シーズン限りでの現役引退を電撃的に発表。会見直前に開催されたミーティングで引退を告げられると、青天の霹靂となった事態に居合わせたすべての選手が涙した。 もしかすると「憲剛さんのために」という思いが強すぎて、その後の2試合は心身のリズムに微妙な狂いが生じていたのかもしれない。だからこそ、出場資格のある東京五輪だけでなくフル代表入りをも視野に入れる、黄金ルーキーの活躍でもぎ取った王手はチームに再び弾みをつける。 3試合ぶりの白星をあげたフロンターレは、23勝3分け2敗で勝ち点を72ポイントに伸ばした。唯一、フロンターレを逆転する可能性を残す2位・ガンバ大阪とのポイント差は「17」に開いた。ともに残りは6試合なので、フロンターレが中2日で迎える21日の大分トリニータ戦に勝てば、ガンバがフロンターレとの直接対決を含めた残り試合を全勝しても届かない。 J1が18チーム体制になった2005シーズン以降を振り返れば、5試合を残しての優勝決定は、3試合を残して美酒に酔った2010シーズンの名古屋グランパスを上回る史上最速となる。もっとも、10連勝以上を2度もマークしたフロンターレの新記録ラッシュは、史上最速優勝だけにとどまらない。 トリニータ戦で白星を積み重ねれば24勝目となり、2010シーズンのグランパス、2011シーズンの柏レイソル、2015シーズンのサンフレッチェ広島、2016シーズンの浦和レッズ、そして2017シーズンのアントラーズがそれぞれマークした歴代最多の23勝を更新する。 同時に勝ち点も「75」に到達し、2015シーズンのサンフレッチェ、2016シーズンのレッズがマークした歴代最高の「74」を更新する。総得点74、得失点差プラス50と断トツの数字を残すフロンターレは、前者で2006シーズンのフロンターレの84、後者で2015シーズンのサンフレッチェのプラス43も更新する可能性ももつ。そのなかで自力優勝とともに、一挙に3つの記録をまず塗り替える。 「自力で決められるところまで来ているので、チーム全員で一丸となって次節でしっかり決めたい」 過密日程のなかで敵地・昭和電工ドーム大分に乗り込む、次節で優勝を決めると鬼木監督は誓った。数々の喜怒哀楽が刻まれてきた最終節のドラマは、新型コロナウイルス禍に見舞われた今シーズンに限っては無縁。ルーキー最多得点の個人記録更新の偉業に挑む三笘を含めて、歴代最強軍団フロンターレがおそらくは破られそうにない、さまざまな新記録ラッシュを届けるフィナーレへと向かっていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)