なぜ森保Jはメキシコに0-2で敗れたのか…「メキシコは日本がお手本にすべきチーム」
シュタディオン・グラーツ・リーベナウのピッチは濃霧に覆われていた。MF久保建英(ビジャレアル)との交代で後半27分にベンチへ下がっていたMF原口元気(ハノーファー96)は、自身が初めて挑んだワールドカップで味わわされた無力さをフラッシュバックさせていた。 「僕からすると『正直、またか』という感じでしたね。実力がある相手に対して、終わった後に『何で毎回こうなるんだ』という感情になったというか。2年前のベルギー戦もそうでしたけど、勝てたんじゃないかと思った後に、やはり簡単には勝たせてもらえないレベルの相手だった、と思えて」 日本時間18日早朝にオーストリア・グラーツでキックオフを迎えたメキシコ代表との国際親善試合で、日本代表は0-2で一敗地にまみれた。メキシコはFIFAランキング11位の強豪で、7大会連続でワールドカップのベスト16に進出している。 前半19分までに5本のシュートを放ち、そのうち3本を枠内へ飛ばしていた日本が主導権を握っていた流れは、0-0で迎えた後半開始とともに一変した。 メキシコを率いるアルゼンチン出身のヘラルド・マルティーノ監督は、2人の選手を交代でピッチへ送り出す。そのうちの一人、MFエドソン・アルバレス(アヤックス)を、日本の攻撃を差配していたトップ下の鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト)にマンマーク気味につけた。 身長186cm体重75kgの体躯を誇るボランチが、鎌田へ入ってくるパスに対して常に目を光らせている。メキシコが遂げた変化に戸惑っていたと、日本の選手たちが抱いた思いを原口は代弁した。 「僕たちの起点になっていた選手が消されてしまって、繋ぐというところでミスが始まって押し込まれた時間帯に失点してしまって、そこからは彼らも余裕をもってボールを繋ぎ始めた。そうなってしまうと、再び僕たちの展開にもっていくのは正直、難しくなってしまった」 アルバレスの投入とともにメキシコは中盤の形を、アンカーを配置する逆三角形型から底辺にダブルボランチを置く正三角形型に変えていた。中盤でボールをキープできるようになったがゆえに、左右のサイドバックも高い位置を取って日本を押し込むようになっていた。 主導権を完全に奪い返され、シュートを放てないどころかチャンスすらも作れない状態を強いられていた後半18分に均衡を破られる。プレミアリーグで活躍するFWラウル・ヒメネス(ウォルバーハンプトン)に鮮やかな個人技からゴールを決められ、5分後には不用意なボールロストからショートカウンターを発動され、もう一人のエース、イルビング・ロサノ(ナポリ)がネットを揺らした。