川崎Fが史上最速&2つの最多記録Vに王手…21日の大分戦勝利で結実
もう一人のセンターバック、畠中槙之輔も慌てて止めにくる。マルチンスもあきらめずに追走してきた状況で、三笘は視界の右側にフリーで走り込んできたFW小林悠の姿をとらえていた。 「自分で行こうとも思いましたけど、悠さんが横にいたので。(自分のサッカー人生で)過去一番の長さのドリブルから、確実にパスを繋げられて得点になってよかったです」 トップスピードに乗ったまま、右足のアウトサイドでボールにタッチ。畠中とマルチンスの間を割る真横への絶妙のスルーパスを、左ハムストリングの肉離れから5試合ぶりに復帰したエースストライカーの小林が、チーム最多となる13ゴール目を冷静沈着にゴール右隅へ流し込んだ。 両チームともに無得点で推移した均衡を破ったのも、後半開始時にMF大島僚太とともにピッチへ投入された三笘だった。ペナルティーエリア外で手を使ったマリノスのキーパー、高丘陽平が前半40分に一発退場。右ウイングの水沼宏太に代わってルーキーのGKオビ・パウエル・オビンナが投入されていた状況で、フロンターレの鬼木達監督が授けた指示は単純明快だった。 「相手が一人減ってサイドに時間ができることはわかっていたので、攻撃的な薫や僚太たちをどんどん入れて、圧力をかけていきたいと考えていました」 主戦場とする左ウイングに配置されてから8分後の後半8分。右サイドからのクロスを、ペナルティーエリア内の左側で三笘が受ける。それまでにも再三にわたって仕掛けられた残像があまりに強烈なゆえに、対峙するマリノスの右サイドバック、松原健はうかつに飛び込めない。 間合いを詰められれば個人技で剥がし、逆ならば味方を使う。完全に主導権を握った三笘は、ゴール中央に走り込んできたFWレアンドロ・ダミアンへのパスを選択。これはプレスバックしてきたMF扇原貴宏に防がれたものの、クリアはマルチンスに当たって三笘の目の前に弾んだ。 「ダイレクトで打とうと決断していたので、抑えて打つことができました。フレッシュな状態で入っているので、仕事をしないといけないと思っていました」 右足で叩きつけられた強烈な一撃が、オビと左ゴールポストのわずかな間を射抜いた。4試合ぶりに決めた今シーズン12ゴール目で、2009シーズンのFW渡邉千真(当時マリノス)、2014シーズンのFW武藤嘉紀(当時FC東京)がもつルーキーのJ1最多得点記録に1差と迫った。