Reライフ.netインタビュー 武者小路千家の若宗匠・千 宗屋さんが教える 新年に始めたいこと 『いつも感じのいい人のたった6つの習慣』(小学館)を出版
2025年の新しい年を迎えました。気持ち新たに何かを始めたい、よい一年にしたいと意気込んでいる方も多いと思います。毎日を楽しく、充実した日々にするために欠かせないのが、良好な人づきあいです。 人間関係を円滑にするためのコツをまとめた『いつも感じのいい人のたった6つの習慣』(小学館)を出版した、茶道・武者小路千家の千 宗屋家元後嗣に、おすすめの1月の過ごし方や、人づきあいで大切にしたいこと、Reライフ世代に向けたメッセージを聞きました。(聞き手=Reライフプロジェクト 樋口彩子)
――新しい年を迎えて、今年はよい一年にしたいと考えていらっしゃる方もいます。1月におすすめのことはありますか。
お正月は年が改まった節目で、一度区切りを付けて、また次に新しくスタートできる日本のよいシステムです。年賀状や新年のあいさつで、普段連絡をとっていなかった人とも連絡をとりやすくなります。新しいことを始めるにもよいタイミングです。 一年の目標や指針を、思考の上でも行動の上でも準備をしていくよい機会なので、前の年にできなかったこと、新しい年にやりたいことを書き出してみるのもよいでしょう。 初詣で昨年一年を無事に過ごせたことに感謝するとともに、今年も無事に過ごせるようにと自ら誓いを立てるのもおすすめです。神様に対して宣言することで、自分にひとつの目標として課すことも、お正月にふさわしい行動の一つだと思います。
――茶道では、1月には「初釜」もあります。
茶道の「初釜」は、本来は「稽古始め」です。お稽古に来ている人たちが稽古場に集まって、一年間の茶の湯の精進を誓います。普段のお稽古では、お稽古をする人がお茶をたてますが、初釜は先生が亭主を務め、お弟子さんたちをもてなします。年に一度、先生のお点前が間近で見られる機会でもあります。 同時に、今は武者小路千家の初釜も、お茶会形式の賀詞交換会という側面も強くなっています。お弟子さんのみならず、日頃対外的にお付き合いがある方で、普段はお茶に親しんでいない方もお招きしてお茶を楽しんでいただきます。茶の湯を知っていただく、大事なきっかけの一つにもなっています。 今は生活の中からお正月らしいシーンがだいぶ消えているので、三が日が終わったら、松の内(松飾りを立てておく期間)をゆっくり楽しむこともなく、日常に戻っていく人も多いです。そのなかで初釜にはお飾りがあったり、干支にちなんだお道具を出したり、年に一度初釜でしか使わないお道具があったりと、お正月らしさがぎゅっと凝縮されたイベントでもあります。 「初釜に来てお正月らしさを実感した」という声もよくいただくので、日本の生活文化の圧縮ファイルみたいな役割も茶道が担っていると思います。