なぜ森保ジャパンは崖っぷちの豪州戦に勝てたのか…「4-3-3」に戦術変更するなど一変した指揮官の采配と選手の危機感
自身を取り巻く状況についてこう言及した森保監督は、システムおよび先発メンバーの変更に始まり、サイドでの起用が批判されていた古橋をセルティックと同じセンターフォワードで起用し、サウジアラビア戦で失点につながるパスミスを犯した柴崎を、ゴールに絡む仕事を託して決勝点が決まる1分前に投入した自らの采配をこう振り返った。 「プレッシャーがかかる厳しい状況だったが、私自身の心構えとしては守りに入らないように、勝利をつかみ取るために前向きな言動や采配をしたいと考えていた。采配が積極的だったかどうかは、(メディアの)みなさんの評価にお任せしたい」 キックオフ前の時点で開幕3連勝をマークし、グループBの首位に立っていた難敵オーストラリアを止めた。最初の危機は脱したが、吉田が試合後に「首の皮一枚でつながっている」と語ったように、日本が苦境に立たされている状況は変わらない。 日本時間13日未明に行われた他の試合でサウジアラビアとオマーンが勝利し、前者は開幕4連勝で首位に、後者は総得点で日本を上回って3位にそれぞれ浮上した。来たる11月シリーズは日本が敵地でベトナムと対戦する裏でサウジアラビアとオーストラリアの直接対決が、さらに日本が雪辱を期すオマーンとのアウェイ戦が組まれている。 カタールワールドカップ出場権を無条件で手にできる、グループBの2位以内をかけた戦いへ。田中が東京五輪世代を代表して「先輩方の素晴らしい経験も大事だし、若い選手の勢いも時には必要だと思う」とさらなる活躍を見すえれば、浅野は「誰一人として、ここで満足している選手はいない」と日本の巻き返しを誓った。 先発メンバーの顔ぶれとシステムが硬直化していると、不振の原因にあげられてきた采配を大きく覆して手にした白星。逆境の真っ只中で森保監督が腹を括ったとも受け取れるオーストラリア戦が、アジア最終予選のターニングポイントになるかもしれない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)