火星で「太古の生物の痕跡」―今回のNASA発表はなぜ「世紀の大発見」なのか
さて最初のNASAのTwitterのポストから約40分後、このNASA Curiosityの研究リーダーの一人であるThomas Zurbuchen博士は、上のようなツイートをしている。 今回の研究の大きな成果の一つは、今後の火星(または他の地球外の場所)においての、更なる生物の痕跡または生物そのものの探求を、さらに推進する ── 勇気づける好機になる点だろうか。 一古生物学者としては「何十億年も前に隣の惑星である火星において生物がいた」とするアイデアに強く惹かれる。地球の化石記録では生物誕生が約40億年前だ。火星の生物は地球最古の種と近縁だった可能性はないだろうか? 火星のモノが地球の種の源(オリジン)だったという仮説は立てられないだろうか? もしかすると宇宙のはるかかなたから生物は地球と火星に「ほぼ同時期」に運ばれてきたとするスト-リーは、少し私のイマジネーションが利きすぎているのだろうか? とにかく火星における太古の生物の可能性は、非常にエキサイティングだ。 最後に参考までにこの発見に関連するサイトの情報をいくつか載せておく。さらに詳しい情報や非常に興味深い写真なども見ることができる。 ―NASA Curiosity homepage: ―Science Daily “NASA finds ancient organic material, mysterious methane on Mars”: ―National Geographic(英語版) “Building Blocks of Life Found on Mars”: ―CNN(英語版)“NASA's Curiosity rover finds organic matter on Mars”:
筆者ノート
筆者ノート:この記事を書いた後でSCIENCEに二つの論文が発表された。火星のメタンは約30憶年前の(生物の)ものと推定されている。 ― CHRISTOPHER R. WEBSTER, et al. 2018. Background levels of methane in Mars’ atmosphere show strong seasonal variations. Science Vol. 360, Issue 6393, pp. 1093ー1096. ― ENNIFER L. EIGENBRODE et al. 2018. Organic matter preserved in 3-billion-year-old mudstones at Gale crater, Mars. Science Vol. 360, Issue 6393, pp. 1096ー1101. (2018年6月10日加筆)