地域医療構想の実現年見据え意見交換―全日本病院学会、28日から京都市で開催
全国約2500の民間病院が加入(2024年9月現在)する全日本病院協会が「学術研修の場」として主催する「第65回全日本病院学会 in 京都(学会長:清水鴻一郎・京都リハビリテーション病院理事長、実行委員長:武田隆久・医仁会武田総合病院理事長)」が2024年9月28~29日に京都市で開かれる。厚生労働省(以下、厚労省)などが進める「地域医療構想」の実現年(2025年)を目前に控え、民間病院が目指すべき方向性などについて意見が交わされる。清水学会長に、注目の企画やこれからの病院経営などについて聞いた。
◇自院のブランディング、存在意義明確化が重要
地域医療構想は、人口構造や地域の医療ニーズの変化を見据え、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制を確保することが目的です。現在、2次医療圏(病床の整備を図るべき地域単位)は335(2021年10月時点)ありますが、同じ条件の場所は1つもありません。京都府内は6つの2次医療圏に分かれていますが、それぞれの状況には非常に大きな違いがあります。たとえば、もっとも北の「丹後医療圏」は過疎化が進行していて、公立病院を中心に体制を整える必要があります。一方、京都市や長岡京市、向日市、大山崎町を含む「京都・乙訓医療圏」は、府全体の人口の約6割が集まり、京都大学医学部附属病院や京都府立医科大学附属病院などを含めて府下の病院の約6割が存在する“メガ医療圏”で、同じ「医療圏」といっても医療提供体制を確保する「解」はまったく異なります。 国全体として人口が減少していく一方、医療は専門性が増してどんどん奥深くなっているなかで、患者さんが自分にとって適切な医療にアクセスできる状況を地域として面的に確保することは、1病院だけではできません。個々の病院は、自らができることや周囲の人から求められている役割を客観的に見極め、ブランディングを確立し存在意義を明確化することが、これからは重要になっていくと考えています。