地域医療構想の実現年見据え意見交換―全日本病院学会、28日から京都市で開催
◇地域医療構想実現の“羅針盤”に
地域医療構想を実現する2025年を目前に控えた2024年9月28~29日に開催する第65回全日本病院学会 in 京都は、テーマを「地域医療構想前夜~嵐の中の航海 羅針盤を求めて~」としました。団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年に向かっての新たな議論がすでに始まっていますが、2025年は1つのプラットフォームを完成させて次のステップに向かう区切りの年だと思っています。 従来の医療は「治す医療」で、1つの病院で治療を完結させ、終わったら家に帰ってもらうというスタイルでした。今の医療は専門性が高くなり▽救急医療の中でも診療密度の高い高度急性期機能を持つ病院と、状態の早期安定化に向けた医療を提供する急性期機能を持つ病院▽急性期を脱した患者さんの帰宅に向けた医療やリハビリテーションを行う回復期医療を担当する病院▽長期にわたって療養が必要な患者さんを入院させる慢性期医療を担当する病院――と、ステージを分けて、複数の医療機関がそれぞれの専門性を生かして役割を果たすという形に変わっています。 急性期医療はもちろん非常に大事です。しかし、状態が安定してからの回復期リハビリテーション、あるいは持病や障害などその後の人生を通じて付き合わざるを得ない状態にかかわる医療のほうが患者さんの人生にとって重要な部分もあると、医療者の考え方も変わってきています。 そうした意味で、地域医療構想は時代に合った考え方ではあるのでしょう。個々の病院が自分たちの立ち位置、あるいは病院の機能をしっかりと見定めて移行していく1つの機会だと思います。 とはいえ、初めての経験でさまざまな戸惑いもあるでしょうから、自分の病院が何を担っていくかを考えるための“羅針盤”が必要です。加えて、2024年春から始まった医師の働き方改革などさまざまな規制があるなか、今回の学会で病院をどう維持発展していくかといったことを見つめるための方向性を見出すことが不可欠、という思いでテーマを決めました。