地域医療構想の実現年見据え意見交換―全日本病院学会、28日から京都市で開催
◇多彩なプログラム、見所は
今年の学会も多彩なプログラムを用意しています。その中から見どころをいくつかご紹介します。 まず、「地方における民間病院団体の在り方」と題した学会長講演です。民間病院は、同じ地域にあれば競争相手であることは事実です。一方で、意見発信や人材育成などで団結する必要もあります。たとえば、京都府下の民間病院でつくる京都私立病院協会は、看護師等養成校を2校運営し、うち1校には臨床検査技師、臨床工学技士を養成する学科もあり、自分たちで人材を育てています。また、協同組合で資材などを共同購入することで経費を圧縮する手助けをしたり、保険、福利厚生などを担ったりしています。さらに、病院企業年金基金を運営して公的年金を補い、職員の将来を保障しています。京都私立病院協会は、京都府医療勤務環境改善支援センターを京都府から委託され運営もしています。情報や意見についても、病院がまとまって発信・表明することで行政などに重要性を理解してもらいやすくなります。このように、競争しながらも団結するのが地方における病院団体の在り方だといったことをお話しします。 次に、今回の目玉企画として「厚労省以外の省庁は医療をどのように見ているか」と題した企画をご紹介します。医療系の学会に厚労省の官僚が参加することはよくありますが、それ以外の官庁からの参加はそれほど多くありません。今回は厚労省に加え▽医療費を含めた国全体の財政を管轄する財務省主計局▽地方の財源などを調整する総務省自治財政局▽厚生連病院などを持つ農業協同組合を管轄する農林水産省経営局――からご参加いただき、彼らの目に医療、病院がどう映っているか、今後医療はどうあるべきと考えておられるのかなどについて議論いただきます。 京都ならではの“文化企画”もあります。 1つは千利休につながる「三千家」の1つ、武者小路千家第14代家元の千宗守さんの特別講演「茶は薬用より始まる」です。お茶はもともと、薬用として始まり医療ともつながりがあります。そうしたことを通じて京都、お茶の文化に触れていただきます。 もう1つは、清水寺貫主、森清範さんによる特別講演「ことばの呪能」です。森さんは年末に話題となる「今年の漢字」を揮毫(きごう)している方で、言葉の持つ魔力や魅力といったことについてお話しいただく予定です。 また、参加者に学会の最後まで楽しんでいただきたいとの思いもあり、2日目の終盤に女優の藤原紀香さんと私の特別対談を企画しました。藤原さんは最近、舞台にも出られており、テレビや映画と違い舞台は一発勝負で、それは我々の「失敗できない手術」と同じではないか――そうした緊張感を乗り越えて最高のパフォーマンスを発揮するという意味で、舞台女優と医師に共通するものがあるのではないかといったお話をしたいと思っています。