リバウンド懸念…解除後は「ゼロにはできない」「制御していくことが大事」
新型コロナウイルスのリバウンド(感染の再拡大)が首都圏で懸念される中、政府は緊急事態宣言を21日で全面的に解除することを決めた。感染状況や医療提供体制の指標であるステージは「3相当」まで下がったとするが、現在の東京都の1日の新規感染者数は300人程度で、これは昨年11月に第3波の感染拡大が顕著になってきた頃の水準でもある。宣言解除後の感染再拡大に向けて、政府はどんな考え方で、どんな対策を打ち出しているのか。 【会見動画】宣言の全面解除決定「制御することが大事」西村担当相と尾身会長が会見
●ステージ指標を見直す
「残念ながら2回目の緊急事態宣言を出さざるを得なかった理由の一つは“サーキットブレーカー”が効かなかったことだと思う」 1都3県への緊急事態宣言の解除方針が示された首相会見の中で、尾身会長はこう悔やんだ。 サーキットブレーカーとは、許容電流が超えた場合に自動的に電流を遮断して配線を保護するものだが、株式市場が大きく変動した際に発動される取引停止などを意味する用語としても使われる。 分科会は昨年8月、感染爆発の予兆をつかんで早期対応し、緊急事態宣言の発出を未然に防ぐための指標として「4段階のステージ」を示した。ステージ4を宣言発出が視野に入る感染爆発期とし、ステージ4に至らないように感染抑制対策を取るステージ3(感染急増期)、そしてステージ2(感染漸増期)、感染がゼロないし散発状態であるステージ1を設けた。 それ以降、人口10万人あたりの新規陽性者数やPCR検査の陽性率、最大確保病床の使用率など6つの指標をもとに、感染状況や医療提供体制をモニタリングしてきた。しかし、第3波の流行が顕著になった昨年11月以降、分科会はステージ3でのGo Toトラベル停止やイベント開催制限の検討を提言してきたが、感染は年末年始にかけて爆発し、今年1月の緊急事態宣言の発出に至ってしまった。 そのため、国と自治体が「いつ“ハンマー”(感染防止対策)を打つか」の目安を、より具体的に示すため、尾身会長は現在のステージ指標を見直す意向を示した。 「何らかの客観的な目安がないといけないので、われわれ専門家も政府などと連携して、今まではステージ3と4の区分けについてのインジケーター(計器)をし終えたが、どういう状況になったら“ハンマー”を打つのかということを、もう少し具体的に考えたらいいんじゃないか」と述べ、来週にも検討準備に入るとした。 具体的には、現在の指標を使って対応にあたった第3波での経験を踏まえ、「より適切な数値に変える必要があるのか、あるいは追加的な指標を加える必要があるのか」を検討するとした。 さらに「国と自治体が連携して判断してほしかったが、迅速な判断が必ずしもできなかった。どうしたらそういうことがないようにするのか、再検討して改めるべきことがあったら追加、あるいは修正するべきだ」とも踏み込んだ。