リバウンド懸念…解除後は「ゼロにはできない」「制御していくことが大事」
●検査の拡充とまん延防止措置
解除決定に合わせ、政府はリバウンド防止対策として「5つの柱」を打ち出した。内容は(1)飲食を通じた感染防止(2)変異株への対応(3)感染拡大の予兆をつかむための戦略的検査の実施(4)安全迅速なワクチン接種(5)感染拡大に備えた医療体制の強化――の5つ。 戦略的な検査について、菅首相は「繁華街や駅などですでに実施している無症状者のモニタリング検査を順次主要な大都市で大幅に拡大し、来月(4月)には1日5000件の規模にする」「高齢者施設などは今月末までに3万か所の施設を対象に検査を行い、来月からはさらに集中的、定期的な検査を実施する」と説明した。 さらに、東京都では「深掘りの積極的疫学調査」も行っていく。 同じ「検査」でも、尾身会長は「モニタリング検査と深掘りの検査ではちょっと目的と方法が違う」と以下のように説明する。 モニタリング検査は、感染の予兆をつかむためのもので「小さな山を経時的に見るし、上がったらすぐに分かる。検査が主になる」。一方、深掘りの積極的疫学調査は、隠れた感染源を特定していくもので「感染源があるかもしれないところを保健所の方々が相談して決める。いろんな方法があって、今までの感染者のデータをかなり掘り出していく。場合によっては感染者に聞き取りをし、必要だったら検査をする」という。
2月には新型コロナ対策の特別措置法が改正され、罰則付きの「まん延防止等重点措置」が新設された。これは“準・緊急事態宣言”ともいうべきもので、都道府県内の特定の地域で感染急拡大がみられた場合に機動的な対策を行って感染を抑え込み、宣言発出を防ぐことを目指す。一方で、宣言解除後の地域に適用することも想定されている。 今回の解除では、この適用は見送られた。西村氏は「現時点で言うと、東京の状況もステージ3以下になっているし、解除後直ちに使うことは考えていない」との見方を示した。ただ「何か感染が広がってくる端緒を見つければ機動的に扱いたい」とした。 今後はこうしたさまざまな検査・調査で感染拡大の予兆をつかみ、まん延防止措置なども活用することも視野にリバウンドを防いでいくことになる。尾身会長は「首都圏ではクラスター(感染者集団)が多様化している。モニタリング検査、深掘り検査をしていった結果、(飲食だけではなく)新たな感染源があれば、そういうことに対する対策を打つ。まん延防止措置の対策の一部には入れていく必要は出てくる可能性はあると思っている」と語った。