なぜラグビー日本代表は敵地のアイルランド戦に5-60と完敗を喫したのか…新主将「残念という言葉だけでは表現しきれない」
スクラムを安定させたこと以外は、さまざまな部分で苦しんだ日本代表。この春、約1年8か月ぶりに活動を再開させてからは、強豪との3戦で惜敗と手応えを掴んでいた。だが、この日は、抱えていた課題を浮き彫りにした。 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、現地記者の問いかけにこう述べた。 「(新型コロナの)パンデミックで準備が遅れているのは確か。あと2年で取り戻さなくてはいけない」 ナンバーエイトで先発の姫野和樹は「自分たちのマインドセットが問題」と振り返った。今春までにやや目減りした感のあるフィジカリティの数値は、夏までに各々の基準をクリアしている。それでも大敗した理由は、自分たちの心構えにある。姫野はそう言いたげだった。技術的、戦略的な問題点を踏まえた上で、あえて精神的要素を指摘しているのだろう。 8強進出を果たしたW杯日本大会以上の好成績を目指す2年後のW杯フランス大会では、今回のアイルランド代表と同格のイングランド代表などとぶつかる。 今回の欧州遠征は、その大一番への貴重なステップである。チームは、14日にはポルトガル代表、20日にはスコットランド代表と対戦する。世界ランクで日本代表より9つ下回る19位のポルトガル代表との試合では、若手を起用しそう。かたやアイルランド代表より2つ下の7位というスコットランド代表とのゲームへはベストメンバーを再編成するだろう(世界ランクは試合前の時点)。いずれにせよ求められるのは、アウェーで誇りを取り戻す体験だ。 最後になったが、キックオフ前の国歌斉唱時には、迷惑系ユーチューバーと見られる男性が乱入していたことを追記しておく。当該男性の近くにいた田村は「特にそれが試合に影響したことはないです」とコメントしていた。 (文責・向風見也/ラグビーライター)