なぜラグビー日本代表は敵地のアイルランド戦に5-60と完敗を喫したのか…新主将「残念という言葉だけでは表現しきれない」
敵地ダブリンのアビバスタジアムで厳しい現実が示された。ラグビー日本代表は6日、現地でアイルランド代表と対戦し5ー60と大敗した。 試合後の芝の上でピーター・ラブスカフニ主将がインタビューに応じた。 「残念という言葉だけでは私たちの気持ちは表現しきれない。努力の成果を発揮できなかった…」 2019年のW杯日本大会で8強入りした際には、このカードを19-12で制し、今年の7月3日の対戦では惜敗したが、31―39のスコアだった。しかし、この日のアイルランド代表は、近年の対戦時にあってはもっとも充実した顔ぶれだった。7月の対戦時のメンバー23名のうち続けて選ばれたのは7名にとどまり、今年6月のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(英国3協会、アイルランドの精鋭により4年に一度結成される連合軍)に派遣されていた選手が6名追加されていた。 さらに2018年のワールドラグビー年間最優秀選手のジョナサン・セクストンが司令塔のスタンドオフで先発した。W杯日本大会、そして7月の対戦時も不出場だったセクストンは、この日で100キャップ(代表戦出場数)目を迎えていた。 新しい紫のセカンドジャージィを着たアイルランドは素晴らしかった。 日本代表の防御の死角をえぐっては、長短のパスを次々とつなぐ。1対1のコンタクトはほぼ優勢で、開始20分までに19点リードと一気に天秤を傾けた。 セクストンとスクラムハーフであるジェイミソン・ギブソンパークの司令塔団が、テンポよくフェーズを重ねる。日本大会の対戦には登場しなかったアンドリュー・コンウェイ、ジェイムズ・ロウの両ウイングは、計4トライなどで存在感を発揮した。 対する赤と白のジャージィの日本代表はなかなかエンジンをかけられなかった。 好ランナーに食い込まれれば、次の局面で防御の人数を揃えられない。前半11分にはフィールドの左、中央、右と一気に切り裂かれ、コンウェイの最初のトライなどで0―14とされた。フルバックの松島幸太朗は、こう語った。 「フィジカルでやられたというより、向こうのアタックのうまさが出て、タックル(すべきポイント)が絞りづらくタックルを成立させられず突破された」 防御について松島は「修正能力」が必要だったとも補足した。 戦前は、アイルランド代表が自陣からキックを多く蹴ってくると想定していた。ところがいざ戦えば、自陣からも果敢なランを許した。松島が続ける。 「もともとそういう(球を繋ぐ)戦術だったのかもしれないし、(日本代表の陣形を見て)戦術を変えたのかもしれない。結局、そこにプレッシャーを与えられず、80分間を通してやられてしまった。これからのジャパンには、そこでの修正能力が大事になってくる」