ラグビー日本代表が世界3位の豪州に23ー32と大善戦も”笑わない男”が「全然いいゲームじゃない」と語った理由とは?
会場の昭和電工ドーム大分では声援代わりの手拍子が響き、時に、ため息が漏れる。 ラグビー日本代表は10月23日、世界ランクで7つ上回る3位のオーストラリア代表と対戦した。初めて8強入りしたワールドカップ(W杯)日本大会以来2年ぶりの国内代表戦だ。結果は23―32。後半10分までに13―27と14点差をつけられながら、ラスト6分で23―27と4点差に迫った。接戦だった。 W杯優勝2度の強豪とは、4年前の2017年秋にも対戦。当時は30ー63で屈していたが、この日は、試合後にオーストラリア代表のフランカー、マイケル・フーパー主将に「日本は急速に成長している」と言わしめた。 相手は南半球対抗戦のラグビーチャンピオンシップでW杯日本大会王者の南アフリカ代表などから4連勝と、勢いづいていた。それに対し、日本代表はパンデミックの影響で2020年度の代表活動ができずにいた。 歴史的背景や直近の状況を鑑みれば、「善戦」と捉えられる。日本代表の新主将でフランカーのピーター・ラブスカフニは、こう述べた。 「きょうのプレーは誇りに思っています。ひとつになっていた」 勝ったオーストラリア代表のデイブ・レニーヘッドコーチは、「いらいらするところはあった」。欧州遠征に先立つ形でのこのゲームに臨んだ通称ワラビーズは、反則、パスミスで流れを止めた。 裏を返せば、日本代表が防御で応戦できていた。 ロックのジェームス・ムーアらが好タックルを重ね、ラブスカフニ主将がひたすら接点のボールに絡んだ。ナンバーエイトの姫野和樹、フランカーのベン・ガンターの接点へのアプローチは、自軍ボールの獲得に繋がった。リザーブ組では、左プロップのクレイグ・ミラー、フランカーの徳永祥尭の動きも光った。 今春、約1年8か月ぶりに動き出した日本代表は、秋の再始動に向けて持久力の目標数値を以前より高く設定したという。複数の証言によると、多くの選手がその基準をクリア。9月末からの宮崎、別府での合宿では、高強度の試合形式練習に注力できた。 力と速さのあるオーストラリア代表との正面衝突にある程度、耐えた裏には、かような積み重ねがある。この日代表デビューのガンターはこう話した。