なぜラグビー日本代表の主将が”闘将”リーチ・マイケルからピーター・ラブスカフニに交替したのか…「今までで一番の主将に」
ラグビーの日本代表の新主将に就任したラピースことピーター・ラブスカフニ(32)が12日、宮崎で行われている代表合宿でオンライン会見に応じた。 「自分が主将になるとは思っていなかった。最初に声がかかった時は、光栄で名誉な気持ちでした。ただの日本代表主将ではなく、いままでで1番の日本代表主将になりたいです。選手に影響を及ぼしたい」 これまで主将だったリーチ マイケル(33)がその座を退き、オープンサイドフランカーのラブスカフニに交代することは、今月2日に発表されていた。 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが、ラブスカフニに電話で新主将就任を打診したのは宮崎合宿を前にした9月中旬だった。 「リーチには、しっかりとラグビーにフォーカスしてもらうのがいいと考えました。彼は責任感が強く、主将はミーティング、メディア対応と沢山やらなきゃいけないことがある。その責任を軽くする方がいいと思いました」 リーチは満身創痍だった。 ニュージーランド出身のリーチは15歳で来日。言葉はもちろん、複数の国の文化にもなじんでいる。2019年のW杯日本大会前には「(チームの)潜在能力を上げたい」と、選手たちへ日本の戦中史をレクチャーしたほどだ。グローバルな日本代表の主将として、必要な資質を持っていた。だが、この約2年間で、足首、股関節など、いくつもの箇所を手術。約1年8か月ぶりに再開した代表活動に参加も、ゲーム主将として出たふたつの代表戦で低調と捉えられたようだ。 加えてリーチがプレーするブラインドサイドフランカー、オープンサイドフランカー、ナンバーエイトといったフォワード第3列には、6月までニュージーランドのハイランダーズでプレーした姫野和樹、突進力のあるテビタ・タタフら20代の好素材が揃うという時代の波も押し寄せていた。 ラグビーの主将はグラウンド上の指揮官だ。 ペナルティーキックの獲得後は点差、時間帯、味方の状況を踏まえてプレーを選ぶ。レフリーと対話し、笛の傾向を読みながら反則を予防するのも仕事だ。ジョセフヘッドコーチは、主将に選手としての突出した働きも求めるため、今回の主将交代を決断した。 振り返れば、リーチが苦しい時はラブスカフニがチームの支えになってきた。2016年に来日。クボタスピアーズ(現クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)でプレーし、2018年にはサンウルブズへ加わった。当時のサンウルブズは、国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦していた。同年はジョセフら日本代表のコーチ陣が揃って在籍し、代表本隊の強化を促した。 代表資格の都合上、代表戦デビューは2019年7月27日のフィジー代表戦。ただ、その試合で早くもゲーム主将を務めている。同年のW杯日本大会でも、アイルランド代表戦、サモア代表戦で、その責務を担い、史上初の8強入りを果たした。この年、ラブスカフニが先頭に立った3試合中2試合で、リーチはその時点での状態が芳しくなくリザーブに回されていた。そして代役は、そこに至るまでに確かな手順を踏んでいた。