主将の吉田麻也が語る「東京五輪金メダル獲得3か条」
メキシコ大会ではナイジェリア代表との初戦で、相手のラフプレーを受けて負傷退場。じん帯断裂で出場が不可能になった後は、松葉杖姿で仲間たちのユニフォームを黙々と洗濯し続けた。キャプテンの背中がチームをさらに結束させた。 銅メダル獲得を縁の下で支えた「伝説のキャプテン」の立ち居振る舞いを、間接的に知っていたかどうかはわからない。それでもオンライン取材で吉田が明かしたキャプテンとしての決意は、1960年代の日本代表と共通するものがあった。 「サッカーキャリアのなかでも最高だったと思えるような大会に、みんなが感じられるようにしたい。そのためには強く要求するし、お互いに高め合う。そして、自分を犠牲にしてでもチームのために、日本のために戦えるかという点では、自分がカギを握ってくると思っている。そこは若い選手たちを上手く先導していきたい」 必要あれば忌憚なき言葉を介して強く要求する。自己主張を積み重ねながら、短期間のなかでもお互いに高め合う。そして、自己犠牲の思いを厭わない。森保監督が目標として掲げる、金メダル獲得へ近づくための“3ヵ条”を率先して実践していく。 事前キャンプで何よりも重視したいのが、コンディション調整だと吉田は力を込めた。シーズンを終え、短いながらもオフを取った海外組。Jリーグでの戦いの渦中にいた国内組。さらには初日に参加しなかったMF三笘薫(川崎フロンターレ)ら、ウズベキスタンとタイでACLのグループリーグを戦っている選手も4人を数える。 3つのグループのコンディションにバラつきがあれば、自国開催のメリットを生かせないまま、準決勝まで中2日で試合が続く過密日程を万全な体制では戦えない。 「選手たちの実力もあるし、欠点もそうはないと思うので、やはりコンディショニングを整えていくことが一番のカギになると思っています」 こう語った吉田は、事前キャンプ前の自主トレが降雨続きだった点にも言及。日本特有の暑熱対策も積んでいくとした上で、若い選手たちへの檄も飛ばしている。 「静岡では特にいろいろなことにトライして、いろいろなことを明確にしていく。ネガティブな結果が出ようが、それをポジティブなものに変えていける、試行錯誤ができる時間があると思っている。この大会を通してどこまで突き詰められるか。若いと気持ちに乱れなどが生じるかもしれないけど、そのなかでどこまで自制できるか。すべてを出し切って終わりにするための準備を、今日からしていくことが大事だと思っています」 北京大会はグループリーグを3戦全敗で終えた。対照的にロンドン大会はメキシコ大会以来、44年ぶりのベスト4進出を果たした。前者を「ほとんど記憶がない」と振り返った吉田は、後者を「サッカー人生のなかですごく大きなイベントになった」と位置づけながら、6月前半の代表活動期間中にはこんな言葉を漏らしている。 「自分のなかで悔しい試合はいくつもありますけど、そのなかでも特に悔しさが残ったのは間違いないですね。あと一歩でメダルを逃した、という引っかかりが今回、またチャレンジするきっかけになった。やり残したことがあると、ずっと思ってきたので」