なぜEUROでV候補の仏が敗退するなど大波乱が起きているのか…ベスト8を勝ち抜き頂点に立つのはイングランド?
ヨーロッパの11都市で分散開催されているビッグトーナメント、ヨーロッパ選手権(ユーロ2020)はベスト8が出揃い、いよいよ日本時間3日未明より準々決勝に突入する。 日本時間6月27日未明から4日間にわたって行われた決勝トーナメント1回戦では、ロシアワールドカップ王者で今大会の優勝候補筆頭でもあったフランス代表が、3-3のままもつれ込んだPK戦でスイス代表に敗れる大波乱が起こった。 他にも前回大会を制したポルトガル代表をはじめ、ドイツ代表やオランダ代表といった強豪国が次々と敗退。対照的にスイス、ウクライナ代表、チェコ代表とグループリーグを3位で通過した3ヵ国がベスト8に名を連ねた。 このうちスイスとウクライナは、ユーロ史上で初めてのベスト8進出となる。壮絶な下克上にも映る大波乱が続出している背景には何があるのか。 ドイツサッカー協会の公認S級ライセンスを取得し、昨シーズンには堂安律と奥川雅也が在籍したブンデスリーガ1部のアルミニア・ビーレフェルトで、ヘッドコーチを務めた経験をもつ解説者の鈴木良平氏は「優勝候補国はあっても、絶対的なそれではなかった」とヨーロッパ全体のレベルがさらに上がっている点を指摘する。 「例えば北マケドニア代表と言われても、日本人を含めて一般的には何なの、という印象を受けるじゃないですか。実際に今大会ではグループリーグで敗退しましたが、決して弱くはなかったし、3月のワールドカップ予選では敵地でドイツ代表から歴史的な勝利をあげている。この結果だけを見ても、全体がレベルアップしているとわかります」 北マケドニアは1991年に旧ユーゴスラビアからマケドニアとして独立し、2019年から現在の国名になった。ワールドカップおよびユーロの予選で敗退が続いてきたなかで、前回大会から出場国数が8増の「24」になったユーロで初出場を果たした。 ユーロの出場国数の拡大や、ロシアワールドカップ後の2018年9月からヨーロッパサッカー連盟(UEFA)に加盟する55の代表チームでスタートしたネーションズリーグ、さらには今大会の分散開催でもたらされる相乗効果を鈴木氏は指摘する。 「商業的な目的などUEFAの意図はいろいろとある。そのなかでも、たとえばネーションズリーグでは弱いと位置づけられていた国でも、結果次第では上のリーグへ上がっていける。その過程でレベルが上がり、結果として今大会の波乱につながっている」