城氏が語る「五輪代表のメダル期待値と残された課題」
東京五輪でのメダル獲得への期待値が高まったゲームだった。 ジャマイカが激しくプレッシャーをかけてこなかったこともあってU―24代表は楽にボールを動かすことができたが、4-0快勝の一番の原因はOA枠の遠藤航―田中碧のダブルボランチの安定感にある。セカンドボールのほとんどをカバー。相手を潰し、自在にパスを通す。ゲームを支配しリズムを作った。 「4-2-3-1」フォーメーションにおけるダブルボランチは2人の位置関係が非常に重要になってくる。遠藤がリードしてバランスを取ったが、田中は、ただボールをつなぐだけではなく、プレッシャーがないと見ると、前を向き、間でボールを受け、相手が下がるとスルーパスも出せる。 典型的なシーンが前半42分の2点目のゴール。遠藤が相手のボールを奪って起点となり、三笘とパス交換をしながら揺さぶり、最後は、田中のパスを受けた遠藤が左サイドの旗手のオーバーラップを待って、自分へのマークが緩慢になったと見るや、シュートを打ち2点目を決めた。このボランチコンビは五輪代表チームの中心になるだろう。 このゴールシーンでは、ジャマイカディフェンスを引きつけた旗手のランが効いていた。指揮を執った横内監督は、左サイドに旗手、左ボランチに田中碧、2列目の左に三笘を置く布陣を組んだが、この3人は、Jリーグで敵なしの川崎フロンターレのユニット。彼らの阿吽の連携を代表チームに持ち込んで生かした。旗手は、他ポジションもできるポリバレントなプレーヤー。左サイドには守備力の高い中山もいる。チームの選択肢が増えたことも収穫だった。 左から三笘、堂安、久保と並べた2列目が機能したことも特筆すべき点。これまでは久保をトップ下で起用していたが、この並びでは久保と三笘の連携がうまくいっていなかった。しかし、堂安をトップ下に置き、久保と三笘の間に挟んだことで、元々、連携のできていた久保―堂安のホットラインが活発化し、三笘も含めた3人が機能的に動き始めた。2列目は、この配置がベストだろう。 日本代表との異例の“兄弟対決“では、独りよがりのプレーが目立って空回りしていた久保は、本来のポテンシャルを発揮した。スタジアムをどよめかせたのは前半32分の先制点。給水タイムからのリスタートで、4人の股抜きという驚愕のゴールを決めた。