主将の吉田麻也が語る「東京五輪金メダル獲得3か条」
吉田が言及したのは0-2で完敗を喫したU-23韓国代表との3位決定戦。メダリストとオリンピアンとの間に存在した、ほんのわずかな距離に映るも、実際には埋め難い差がある現実を目の当たりにした9年前の悔しさはいまだに忘れられない。 だからこそ、当初は予想もしていなかったオーバーエイジでの選出をポジティブに受け止めた。酒井に遠藤と「3」枠のオーバーエイジをすべて守備陣で使った森保監督の意図も理解した上で、6月シリーズから自らを若き代表へ融合させてきた。 「まずは守備からチームを形成して、チームの戦い方をしっかりと確立させていく。何が足りないかではなく、何をしなければいけないのかを常に考えてまとめていきたい」 最終ラインを束ねるリーダーでもある吉田は、同時に「周囲に強く言うからには、自分にも責任というものが出てくる」とつけ加えている。半世紀以上もの時空を越えて、メキシコ大会を束ねた「伝説のキャプテン」と再び熱き思いが共有された。 銅メダル獲得に至るメキシコ大会での合言葉は「石垣」だった。さまざまな個性を持つ石が組み合い、隙間が生じればみんなで埋め合いながら強固なチームへと変えていく。史上2人目となる3度目の五輪に臨む吉田をピッチの内外で中心としながら、21世紀版の「石垣」を構築するチャレンジが始まった。(文中一部敬称略) (文責・藤江直人/スポーツライター)