EUROでスペインとイタリアが4強進出を決めた理由とは?
クライマックスを迎えているサッカーのビッグトーナメント、ヨーロッパ選手権(ユーロ2020)は日本時間3日未明に準々決勝の2試合が行われ、スペイン代表とイタリア代表がそれぞれ勝利して同7日早朝に行われる準決勝進出を決めた。 ロシアのサンクトペテルブルク・スタジアムを舞台にした一戦は、スペインがPK戦の末に3-1でスイス代表を退けて2大会ぶり5度目のベスト4進出を決めた。決勝トーナメント1回戦で優勝候補筆頭のフランス代表をPK戦の末に撃破したスイスは、後半に退場者を出しながらも必死に食い下がったが、最後の最後に力尽きた。 ドイツ・ミュンヘンのフースバル・アレーナで行われたもう1試合では、ロシアワールドカップ出場を逃したイタリア代表が、FIFAランキング1位のベルギー代表を2-1で撃破。2大会ぶり6度目のベスト4進出を決めるともに、ロベルト・マンチーニ監督のもとで更新中の連続無敗試合を、同国代表で歴代最長記録となる「32」とした。
スペインはPK戦でスイスに勝利「PK戦は宝くじ」
緊張と興奮、そして運命が目まぐるしく交錯するPK戦。まばゆいスポットライトとともに痛快無比なヒーローになったのは、スペイン代表デビューを果たしてまだ8ヵ月もたっていないホープ、ウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)だった。 1-1のまま15分ハーフの延長戦でも決着がつかずにもつれ込んだPK戦。会場全体がスイスを後押しする異様な雰囲気のなかで、身長190cm体重86kgのサイズを持ち、今大会直前に24歳になったばかりのシモンが躍動した。 先蹴りのスペインの1番手、キャプテンのMFセルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ)がいきなり左ポストに当てて失敗した大ピンチ。後蹴りのスイスの2番手のDFファビアン・シェア(ニューカッスル・ユナイテッド)、3番手のDFマヌエル・アカンジ(ボルシア・ドルトムント)のPKをともに右へ飛んで弾き返した。 一気にプレッシャーがかかってきたのだろう。スイスの4番手、FWルーベン・ヴァルガス(アウグスブルク)のPKはゴールバーの上を大きく越えてしまう。続くスペインの5番手、FWミケル・オヤルサバル(レアル・ソシエダ)の一撃がゴール右隅へ突き刺さった瞬間に、120分間を超えた死闘に決着がついた。 「PK戦は宝くじのようなもので、観ていた人たちにとっては僕たちよりもはるかに心臓に悪かったと思う。でも、僕にはダビドとロベルトがついていた。彼らが僕の幸運を祈ってくれていたし、PK戦の前に『スペインは勝つに値する』とも言ってくれた。一人のゴールキーパーではなく、チーム全員でつかみ取った準決勝進出だと思っている」 試合のMVPにあたるスター・オブ・ザ・マッチを手にしたシモンは、リザーブとして支えてくれた2人のキーパー、ダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)、ロベルト・サンチェス(ブライトン)の名前をあげながら感謝した。