「ひきこもりは生き延びるための選択肢」当事者に寄り添い続けたジャーナリストが語る、本当に必要な支援とは #今つらいあなたへ
「ひきこもり」について30年近く取材を続けるジャーナリストの池上正樹さん。池上さんは子どもの頃、学校に登校していたものの教室ではクラスメイトと一言も話すことができず、“学校の中でひきこもっていた状態”だったと語る。長年取材を続ける中で、「ひきこもりは甘えや怠けではなく、生き延びるための選択肢」であると知ったそうだ。ひきこもりの実態や、ひきこもり当事者や家族を社会がどう支えていくべきか、話を聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
30年近くひきこもり当事者を取材してきた理由
――池上さんが、ひきこもりについて取材を始めたきっかけは何だったのでしょうか。 池上正樹: 30年ほど前から学校教育について取材をしていたのですが、そこで学校に行けない子や、学校で話せない子たちに出会って「昔の自分みたいだな」と感じました。一体どうしてこういうことが起きるんだろうと調べていたところ、「ひきこもり」という言葉に出会ったんです。それ以来、これは自分の使命だと思ってひきこもりと関わり続け、取材や家族会のサポートをしています。 ――ご自身は学生時代にどんな経験をされたのでしょうか。 池上正樹: 幼稚園時代から小学校6年生まで、教室の中では誰ともしゃべらず心を閉ざした状態でした。休み時間は図書室で本を読んだり、カーテンの陰に隠れて外を見たりして自ら存在感を消していました。周りから見たら何も反応のない子という感じだったと思います。当時は「ひきこもり」や「不登校」という言葉を知りませんでしたけれど、振り返ると学校の中でひきこもっていた状態だったのではないかと思います。 ――中学生以降は、何か変化があったのでしょうか。 池上正樹: たまたま、仲のいい友人ができたんです。学校の中でも外でもずっと一緒にいて話ができることが、非常に心の支えになりました。それがきっかけで他の生徒とも徐々にコミュニケーションが取れるようになっていったんです。 ただ、話せなかった期間が長かったので、会話が苦手だったり、人前に出る時に緊張したりするところは今も残っていますね。