台湾全土を徒歩で1周、その距離3856km!生活藝人・田中佑典さん「台湾微遍路」への挑戦
2023年7月から2024年3月まで、174日を掛けて台湾全土を一周した日本人がいます。その人の名は田中佑典(ゆうすけ)さん。福井県を拠点に、「生活藝人」という肩書きで、これまで約15年間日本と台湾をつなぐ文化プロデュースや企画などの活動を続けています。 【写真16枚】「蘇花公路」の海岸線、蚵仔寮の夜明け、大溪のバロック様式の建物などを写真で見る 台湾全土の総踏破距離はなんと3856km。「一秒も車に乗らない」「寝袋を持たず、自分で宿を探すか、誰かに頼る」というルールを自らに課し、見事徒歩での台湾一周「台湾微遍路」を成し遂げた田中さんの足跡を紹介します。
台湾との出会い 台湾人の「見切り発車」精神に惹かれ
福井県福井市出身の田中さん。高校卒業までの18年間を福井で過ごしました。高校卒業後は日本大学芸術学部に進学。大学在学中だった2006年、友人たちを集めてカルチャーマガジン「LIP」を発行します。 自主制作の「LIP」のコンセプトは「素人はプロの素」、製作陣もアマチュアの自分たち。駆け出しのクリエイターやアーティストに焦点を当てた内容としていたそう。「ZINE」というカテゴリーがなかった当時に、次第に各書店で取り扱われるようになるなど、知る人ぞ知る存在に成長していきます。 その後も4か月に1回のペースで刊行を続けましたが、当時はYouTubeなどのインターネットプラットフォームの勃興期。ネットカルチャーの中で紙媒体ならではの価値や可能性を考え始め、一旦休刊。同時にアジアのカルチャーへの興味が強くなり、その中での活動を模索し始めます。 大学時代からアジア各国への旅行をする中で、台湾とのご縁が生まれます。台湾の旅行中に出会った現地のクリエイターやミュージシャンたちの「見切り発車」な考え方に、大学生のころの自分が重なり、台湾人や台湾カルチャーに興味を抱きました。 「台湾を紹介する日本メディアは当時まだ少なくて、日本人にとっての台湾のイメージって、当時は『小籠包』と『マッサージ』ぐらいしかなかったんですよね」。今後台湾と日本が、暮らしや文化の面でより身近で大切なパートナーになっていくことを見越し、「台日系カルチャーマガジン」として「LIP」を「離譜」(台湾華語の発音で「リープー」、「あり得ない」という意味)にリニューアル。2011年、台湾での活動を本格的にスタートさせます。