日本にはたった47人しかいない、チャイルド・ライフ・スペシャリスト。病気の子ども・家族・きょうだい児の心の支えに【体験談】
きょうだい児も応援したい。その思いから「きょうだいLove♡通信」を制作
――きょうだい児の支援も行っています。 石塚 きょうだいが病気になり、入院・治療を行うことで、きょうだい児さんは不安や心配、罪悪感、寂しさなどさまざまな感情を抱きます。私が勤めている横浜市立大学附属病院では、CLSだけでなく看護師、病棟保育士と連携して、きょうだい児の応援をしたいと考えていて、きょうだい児さんに向けた「きょうだいLove♡通信」を制作しています。年2~4回の発行で、だれにでも持ち帰ってもらえるように、小児科病棟の入り口と小児科外来に置いてあります。 この冊子を作っている目的は、「病院にもみんなのことを応援してる人がいるんだよ」と、きょうだい児さんに知ってもらうこと。そして、きょうだい児さんと家族が一緒に読んでもらう中で、病院のことや、入院しているきょうだいのことについて、フランクに話してもらえたらいいなと願っています。 ――きょうだい児向けの工作キットの配布も行ったとか。 石塚 横浜市立大学で学ぶ看護学生にも協力してもらって工作キットを作り、きょうだい児さんに渡しました。病気の子どもがいる両親は、きょうだい児さんにかかわる時間が少なくなってしまうこともあります。きょうだい児さんと家族が楽しく過ごすきっかけになったら、と思って渡しました ――きょうだい児の両親からの反応はいかがでしたか。 石塚 「きょうだいだけがもらえるという特別感がよかったようです」「おにいちゃんとゆっくり楽しい時間を過ごすことができました」といった感想をいただきました。喜んでもらえたとホッとしています。 病院だけでなく大学とも連携して、きょうだい児支援の輪を広げていきたいと考えています。 ――病気を患う親を持つ子どもへの支援もしているとか。 石塚 入院中の親御さんから、「自分の病気のことを子どもにどう説明すればいいのかわからない」と相談を受けることがあります。その際は、子どもの年齢や性格、今の時点で伝えていることなどを聞き取り、その子の理解に合わせた資料を親御さんと相談しながら作成し、お渡ししています。 親がターミナル(終末)期を迎えたお子さんには、その子の年齢や発達に合わせた言葉でわかりやすく伝え、最後の思い出作りを提案することもあります。 看取りの場も一緒にいて、病院を出るまで付き添うようにしています。