シャープに聞く「AQUOS sense9」の進化と「AQUOS R9 pro」を作ったワケ 根底に“AQUOS R9の刷新”あり
ガジェット的な部分は残しながら品位を共通化している
―― ちょっと話は変わりますが、賛否両論あったという新しいデザインもAQUOS senseにはとても合っているような気がしました。ミッドレンジで誰でも持ちやすそうなところとか。 清水氏 良くも悪くもガジェット感がないですからね。機能を表現していたこれまでのAQUOSを気に入っていた方には、拒否感があるかもしれませんし、逆にAQUOS R9 proはそういうところを意識して、ガジェット的な部分は残しながら品位を共通化しています。 中江氏 AQUOS sense9では、バイカラーにも挑戦しました。遊び心があって、持っていて楽しく、ファッション的な感覚でケースを組み合わせることができます。そういった楽しみ方も含めて、日常的に使うアイテムとしての印象もつけられたかなと思っています。 清水氏 デザイン刷新後は、どういうシーンで使うのかというところから逆算して、形状やカラーを考えるアプローチを取っています。今までは、物自体がかっこいいか、きれいかというやり方でしたが、これだったら家具などのインテリアと合うか、ソファなどのファブリックと合うかということを考えています。 中江がファッションと申し上げましたが、AQUOS sense9は、どういう複数の方が選ぶのかというところも強く意識しました。ブルーであればジーンズやチノパンに無地のシャツ、もっと落ち着いたスーツのような服装であればベーシックなカラーというように、デザイナーが工夫しています。 ―― ケースとも組み合わせられるようになっているんですよね。 清水氏 どの色にどの色のケースを組み合わせてもいいよう、バランスを考えて作っています。私が今手に持っている端末はブルーにグリーンのケースを着けていますが、この組み合わせもカメラ部分との相性がいいですよね。 ―― なるほど。ここでバイカラーが生きてくるわけですね。 清水氏 はい。これまでは、カメラ部分が全て黒でした。コスト面ではそちらの方が有利ではありますが、そこにあえて色をつけることでこういった楽しみ方が生まれます。 ―― 形状が丸みを帯びているところも、ユーザー層や使い方に合わせたのでしょうか。 清水氏 その通りです。よりカジュアルな使い方で、スマホにどっぷりつかっているわけではないお客さまをイメージしています。よりリアルな日常生活の中で、サッと出せて取り回しがしやすいことが求められるので、サイズも6.1型と今どきのスマホとして小さくなっています。角も丸くして、カバンから取り出す際に引っ掛かりにくい。ディスプレイとの兼ね合いもありますが、そういった考え方でよりカジュアルにしています。 ―― 手当たりもいいですね。 中江氏 AQUOS sense9は手のひらサイズなので、特にそう感じるかもしれないですね。この辺は、コンセプトに合わせています。 清水氏 デザイントレンドもありますが、丸みを帯びさせようとすると内部に少し遊びが必要になるので、スペック上の数字との戦いになります。さらに限界まで電池容量を増やして9mmなり8.9mmなりに抑えたいとなると、ピチピチの形状になってしまいます。ここは毎回せめぎ合いにもなります。これは私の予想ですが、どのメーカーも同じように考え、最近はスペックを取ることの方が多いのではないでしょうか。 ―― そんなAQUOS sense9ですが、発売してからの売れ行きはいかがですか。 中江氏 まだこれからのところもありますが、KDDIさん(の店頭)が販売先に入ったこともあり、初速はAQUOS sense8比で約1.5倍に伸びています。 清水氏 AQUOS sense8は、auがオンラインストアだけだったことや、販路でいうとソフトバンクの取り扱いがなかったこともあります。ソフトバンクは「AQUOS sense7」のときも、「AQUOS sense7 plus」だったので、無印のsenseを販売するのは「AQUOS sense5G」以来になります。