なぜ日本には地震が多いのか…地球科学が突き止めた「列島の異変」と「次の大地震」
地球46億年の歴史、地震のメカニズム、気候変動のからくり、日本列島の特徴、宇宙の成り立ちと進化……誰もが知っておくべき地球科学の教養。そのエッセンスが凝縮されているのが、「高校地学」だ。しかし悲しいかな、その履修率は他の理科系の科目にくらべて低い。 【写真】なぜ日本には地震が多いのか…地球科学で見る「列島の異変」と「次の大地震」 本連載では、「最高の教養」である高校地学の中身を、わかりやすくご紹介する。地質学、古生物学、自然地理学、気象学、天文学、宇宙論など、幅広い学問分野の最新成果がまとまったその魅力を、存分にお楽しみいただきたい。 本記事は、『みんなの高校地学 おもしろくて役に立つ、地球と宇宙の全常識』(鎌田浩毅/蜷川雅晴・著)を一部抜粋・再編集したものです。
なぜ日本列島には地震が多い?
なぜ日本では地震や噴火が多く発生するのでしょうか? 本記事では、地学分野のなかでも特に読者の関心が高い「日本列島における地震や噴火による災害のメカニズムと未来予測」について取り上げてみたいと思います。 日本列島の地下には、4枚のプレート(岩板)があります。太平洋側には「海のプレート(海洋プレート)」である太平洋プレートとフィリピン海プレートが、また日本海側には「陸のプレート(大陸プレート)」である北米プレートとユーラシアプレートがあります。 海のプレートは陸のプレートの下に沈み込んでおり、その境界には深い溝状の地形があります。その中でも、一般的に水深が6000メートルよりも深く急峻な地形を海溝、それよりも浅く幅広い地形をトラフ(trough)と呼びます。具体的には、日本海溝や南海トラフ、相模トラフ、駿河トラフがそれに当たります。 このようなプレート境界ではしばしば大きな地震が発生し、大津波を伴うこともあります。すなわち、地震による揺れと津波というふたつの自然災害を起こしてきたのです。 日本列島で起きる地震は発生場所やメカニズムによって、大きく海溝型地震と内陸地震(すなわち直下型地震)に分けられます。近年、日本各地で頻発しているのは内陸地震で、地表から20キロメートル以浅で起きています。その原因は2011年の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)です。これはプレートの沈み込みによって発生した海溝型地震で、869年の貞観地震以来、約1000年ぶりのマグニチュード9クラスの巨大地震でした。なお、マグニチュードとは、地震で放出されるエネルギーの大きさを表します(以下、Mと略記)。