日本列島を「くの字に曲げている溝」その深さ、なんと6km…!その底にある「御歳数千万歳の岩」の正体をご存知か
後に「日本地質学の父」とも呼ばれるようになるハインリッヒ・エドムント・ナウマンは、短期間に高精度の地質図を完成させたり、日本列島成立のカギともなる「フォッサマグナ」を発見するなど、重要な成果を多く残しています。 【画像】はっきりしない東側の境界…北部・新潟の油田形成もフォッサマグナと関係が! とくに「フォッサマグナ」は、日本列島の成立や、今後の変化や姿を考えるのに非常に重要な地質構造であると言われています。それと同時に、謎もまた多く、そもそもその範囲さえ確定していません。 では、ナウマンは、なぜ景色を見ただけで「特異な構造」であることがわかったのでしょうか? なぜ、フォッサマグナが日本列島を考える上で重要なのでしょうか? いったいどういう構造をしているのでしょう? つきることのないフォッサマグナの謎を追いながら、私たちの住む日本列島を見つめ直す旅に出ましょう。 *本記事は、『フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体』の内容から、再編集・再構成してお送りします。
フォッサマグナとは何か?
前回の記事で、ナウマンのご紹介しつつ、彼が「フォッサマグナ」を発見した経緯をご紹介しました。そこでも、簡単にお話ししましたが、あらためて「フォッサマグナ」と何かというと、本州の中央部の、火山が南北に並んで本州を横断している細長い地帯のこと、と言えます。 ナウマンはフォッサマグナの範囲として、日本海側の新潟県糸魚川市~高田平野付近から、太平洋側の静岡県旧清水市(現・静岡市清水区)~神奈川県足柄平野付近に至るまでの広い地域を示しています。 北から見ていくと、新潟県、長野県、山梨県、神奈川県、静岡県、東京都です。さらに関連する府県を入れると、富山県、岐阜県、群馬県を含む関東から中部日本となります(前回の記事で挙げた「ナウマンが定義したフォッサマグナ地域の範囲」の図を再掲します)。 「ナウマンが定義したフォッサマグナ地域の範囲」の拡大画像はこちら 東西に長く延びている日本列島は、このフォッサマグナ地域を境にして、地質的に分断されています。そして、フォッサマグナ地域とその東西では、地層や岩石などの地質がまったく異なっています。
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