敬意あふれる特別ヘルメット/ロッテラーが目指す“偉業”/レクサスは初体験etc.【WECバーレーン木曜Topics】
10月31日、中東バーレーンのバーレーン・インターナショナル・サーキットで、2024年WEC世界耐久選手権の最終戦となる第8戦の走行が始まった。初日は、BMW Mハイブリッド V8がトップタイムを記録。ポルシェ、トヨタ、フェラーリのタイトル争いに向けても、各陣営が準備を進めた。 【写真】2024シーズン限りでポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのラインアップから外れるアンドレ・ロッテラー 昼夜2セッションが行われた木曜日のバーレーンのパドックから、各種トピックスをお届けする。 ■風の影響で“スロースタート” 木曜フリープラクティスのラップタイムは、昨年のレース初日のラップタイムよりも大幅に遅いものとなった。 フリープラクティス2でドリス・ファントールが15号車BMW MハイブリッドV8で記録したベストタイム1分48秒257は、トヨタのドライバー小林可夢偉の2023年ベンチマーク1分46秒851と比較される。これは風が強かったため、初日の走行がコース上に砂が多く、グリップが通常より低い状態で始まったためとみられる。 ■ペンスキーでのラストレース。掴みたい栄光 今週末にポルシェ・ペンスキー・モータースポーツに別れを告げるアンドレ・ロッテラーは、2012年にアウディで初制覇を果たして以来、今週末、ふたつの異なるブランドでWECタイトルを獲得する2人目のドライバーになることを目指している。 現在のところ、ブレンドン・ハートレーだけがポルシェとトヨタでこの偉業を達成している。 ロッテラーと彼のコドライバーが6号車のポルシェ963でバーレーンで優勝すれば、ロッテラーにとって通算13回目のWEC優勝となり、ティモ・ベルンハルトを上回り歴代優勝回数リストで6位に躍り出ることになる。 ■プジョーのリザーブ候補 プジョー・スポールのテクニカルディレクター、オリビエ・ジャンソニは、日曜日のルーキーテストに出走するテオ・プルシェールとクレモン・ノバラックが、2025年のリザーブドライバー候補になる可能性があると明らかにした。 同メーカーは来季、ニコ・ミューラーに代わってマルテ・ヤコブセンがリザーブから昇格することをすでに発表している。 ジャンソニは「我々はいずれ、7人目のドライバーを指名する。すべてはオープンだ。何か問題が起きた場合に備えて、マシンに飛び乗ってくれる人が必要だ」と述べた。 ジャンソニは、プジョーの2025年のレースドライバーは確定しており、ヤコブセン以外に新しいドライバーはいないが、2台のクルマにおけるラインアップ構成について最終決定は下されていないと付け加えた。「これを決めるのには、少し時間がある」と彼は述べている。 ■トヨタのリザーブ、宮田莉朋は不在 トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパのテクニカルディレクター、デビッド・フルーリーは、エステバン・マッソンがアコーディスASPチームで見せたパフォーマンスに感銘を受け、最終戦翌日のルーキーテストにおいて、彼がGR010ハイブリッド初走行でどんな活躍を見せてくれるのか、興味津々だと語った。 「私はGT3プログラムを注意深く見守っているが、彼は今シーズンずっと好調なので、どんな結果になるかは興味深い」とフルーリー。 「目標は彼にプレッシャーをかけることではなく、ただ最初の経験を積ませることだ。しかし、もちろん彼の活躍を注意深く見守っているし、彼は非常に有望だ」 フルーリーはまた、今週末のトヨタにはスタンバイするドライバーがいないことを確認した。公式リザーブドライバーの宮田莉朋は、バーレーンに姿を見せていない。 「問題が起きても、ふたりのドライバーでカバーできるはずだ。レースは夜まで続き、日が沈むとそれほど暑くはない」とフルーリーは述べている。 ■ルーキーテストに備えて フランク・ペレラは今週末、アイアン・リンクスの60号車ランボルギーニ ウラカン GT3 EVO2 のレギュラードライバーを降板し、ルーキーテストでランボルギーニSC63をテストする準備をしている。ランボルギーニの広報担当者はSportscar365に対し、ペレラはSC63のレースに備えるためこの決断をしたと語った。 ペレラの後任であるマッテオ・カイローリは、今年IMSAミシュラン・エンデュランス・カップのランボルギーニGTPプログラムに参加しており、昨年のバーレーン最終戦以来初となるWECのレースに臨む。 また、カイローリがポルシェ911 RSR以外のマシンでこのチャンピオンシップに臨むのは、今回が初めてだ。 ■BMWの“ファクトリー感” ラファエル・マルチェッロは、メルセデスAMGから移籍して最初のシーズンを終えようとしているいま、BMWでの作業は「よりファクトリーに近い」と述べている。 「ミュンヘンの人々との、つながりがより深まるものだ」とマルチェッロはSportscar365に語った。 「一緒に仕事をする人が増えると、良いとか悪いとかではなく、ただ『違い』が増える。以前より多くの人と仕事をすることに慣れる必要がある。レポートを書くと、それを読む人がより多くなるんだ」 マルチェッロは、2015年のGP2シリーズでトライデントに加わって以来初めて、バーレーンへと戻る。このフィールドには、ハイパーカードライバーのストフェル・バンドーン、アレックス・リン、ノルマン・ナト、そしてアストンマーティン・ファクトリードライバーのマルコ・ソーレンセンも出場していた。 なお、今週末の最終戦に出場する13のマニュファクチャラーのうち、国際スポーツカー・レースイベントでバーレーン・インターナショナル・サーキットに出場したことがないのはレクサスだけである。 ■絆を示すヘルメット アルピーヌのマシュー・バキシビエールは、9月の富士ラウンド後にドライバーを引退したニコラ・ラピエールに敬意を表して、今週末のレース用の特別なヘルメットデザインを公開した。ラピエールが現役時代に愛用していたカラー・スキームが採用されている。 ラピエールとバキシビエールは、アルピーヌでの過去4シーズンのうち3シーズンで同じ車両をシェアし、2022年にはセブリングとモンツァでアンドレ・ネグラオとともに2回の総合優勝を果たしている。 シルバーストーンのマネージングディレクター、スチュアート・プリングルは今週末バーレーンに姿を見せている。 来年のカレンダーは8レースのままだが、シリーズが2026年シーズンに9レースに拡大することを選択した場合、このイギリスのサーキットはWECのスケジュールに復帰する可能性が高い候補とみなされている。 * * * * * * 金曜日のトラックアクションは、現地時間正午(日本時間18時)からのフリープラクティス3と、16時(同22時)に始まる予選&ハイパーポールで構成される。 [オートスポーツweb 2024年11月01日]