総裁選で再び注目 自民党の派閥とその歴史とは? 坂東太郎のよく分かる時事用語
安倍晋三首相(自民党総裁)の辞任表明に伴う自民党総裁選挙が14日に投開票されます。今回は国会議員票394人と都道府県連の代表141票(3票×47都道府県)の計535票を争奪する「簡易型」の総裁選で、過半数268票を得れば当選です。議員票と同数の党員・党友票の合計で戦う通常の「フルスペック型」より議員票の比重が重くなるため、「何派が誰につくか」の票読みが盛んです。 【写真】安倍首相が辞任表明 自民党総裁選の仕組みとは? その際、各候補の議員票を推測するのに重宝されているのが「派閥」です。すでに菅義偉(よしひで)官房長官に5つの派閥が支持表明をしていて「もはや勝負あり」などとも報じられているところ。そもそも「自民党の派閥とは何だ」という点をあらためてみていきます。
●派閥の歴史と系譜
政治の世界に限らず、いかなる集団においても入社年次や部門、出身大学、好悪や親疎感などから「派閥」はできやすいものですが、自民党の派閥はそれらと大きく異なります。いくら対立が激化している組織でも、公然と事務所を構えて「領袖」(ボス)まで決まっている派閥など稀でしょう。それも道理で、自民党の場合は1派閥がしばしば野党1つ分以上の勢力を抱える「党内党」なのです。言い換えると自民党とは「党内党の連合体」といえましょう。 現在の自民党内の派閥は主に7つです。名称、人数、領袖、今回支持するとみられる候補を並べると ・細田派98人(会長は細田博之)→菅義偉候補 ・麻生派54人(会長は麻生太郎)→菅義偉候補 ・竹下派54人(会長は竹下亘)→菅義偉候補 ・二階派47人(事実上の領袖は二階俊博)→菅義偉候補 ・岸田派47人(会長は岸田文雄)→岸田文雄候補 ・石破派19人(会長は石破茂)→石破茂候補 ・石原派11人(会長は石原伸晃)→菅義偉候補 となります。菅氏自身は無派閥(約70人)。他に派閥ほど結束が強くない谷垣禎一グループ(他派との重複も含めて20人余)が認められるのです。