大勢決した自民総裁選 注目集まる「その先」
安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選が8日に告示され、石破茂元幹事長(63)、菅義偉官房長官(71)、岸田文雄政調会長(63)が立候補した。総裁選に3人以上が出馬するのは、自民党の野党時代に安倍氏が勝利した2012年以来だ。本来なら投票日(14日)まで激しい舌戦が繰り広げられ注目も高まっていくはずだが、今回の総裁選では党内7派閥のうち5派閥が支援する菅氏の圧倒的優位は変わらず、永田町には「消化試合」のムードも漂っている。 【図解】「自民党総裁選」ポスト安倍に名乗り出た3名の強みと弱み、人柄は?
石破氏を抜き人気急上昇した菅氏
石破派のベテラン秘書はこう嘆く。「菅さんはこれまで政権で黒子役に徹していたこともあり、一般からの人気が低いのが“弱点”でした。しかし、コロナ禍で安倍政権の継続を求める人が多く、先週の新聞各紙の世論調査でも軒並み、『次の首相にふさわしい人』1位は菅さんでした。(こうした流れが)地方の議員や党員に与える影響は大きく、地方票も大きく伸ばすでしょう。国会議員票は7割を抑えたというし、とても太刀打ちできません」。 安倍首相が8月28日に突然の辞任を表明し、総裁選が始まる直前まで、自民党の国会議員の中で国民からの人気が高かったのは石破氏だった。劣勢だった菅氏が短期間で石破氏を追い抜いたことが、各社の世論調査から分かる。朝日新聞の6月の世論調査で「次期総裁にふさわしい人」は石破氏がトップで31%、菅氏は3%だった。ところが、9月2,3日の調査では菅氏が31%、石破氏が25%と逆転。読売新聞が8月7日~9日に「次の首相にふさわしい自民党の政治家」を聞いた全国世論調査では、石破氏が24%、菅氏と岸田氏はともに4%だったが、9月4~6日の調査では菅氏が46%、石破氏33%、岸田氏9%と、こちらも逆転している。 総裁選の形式も菅陣営に有利に働くとみられる。今回は国会議員票と党員票(いわゆる地方票)が同数のフルスペック型(394票+394票)ではなく、「緊急を要する場合」に行われる簡易型(394票+141票)の投票方式を取る。この場合、地方票の割合はフルスペック型よりも大幅に低くなる。 直近2回の総裁選で石破氏に投票した小泉進次郎環境相も、今回は菅氏を支持することが明らかになった。圧倒的な国会議員票と世論調査の結果は、菅氏がポスト安倍の最右翼であるとのムードを加速させている。