いつも不安ですよ、いつ首切られるんだろうなって――芸人からMCへ「化けた」恵俊彰の考えるキャリア、そして相方への思い
昼の情報番組の顔を務めて10年以上。MC、キャスターとしてイメージが定着した恵俊彰(58)は、グレイヘアがしっくりと似合う年齢になっていた。今年の春からは大学院へ通い、休日は子どもの習い事に付き添うなど、仕事にプライベートにと、毎日意欲的だ。芸人からMCへ、収まりよくキャリアチェンジをしていった恵の成功の秘訣とは。「ホンジャマカ」を解散しない理由、相方・石塚英彦への思いも聞いた。―取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル特集編集部―
ホンジャマカでの役割は、ツッコミの方でしたから
「僕が『ホンジャマカ』だって、今じゃ知らない人の方が多いかもしれないですね」 恵俊彰はそう言って笑った。 TBS系情報番組『ひるおび』の総合MCを務めて、13年。 MCの仕事は2000年代から急増し、テレビ、ラジオでさまざまな番組を担当してきた。今や世間のイメージは、芸人よりも人気MCだ。 「今のように、MCとしてやっていけていることは、昔はまったく想像もしていなかったことです。ただ、ホンジャマカでの役割は、ツッコミの方でしたから、どちらかというと場を回すことには慣れていたのかな。そこは自然にできていた部分かもしれません」
取材に先立ち見学した「ひるおび」の現場。カメラが回っていない時でも、ゲストやコメンテーターとのコミュニケーションを欠かさない。恵のさりげない配慮で、スタジオ収録に慣れない専門家たちも、リラックスしてその場にいられることが、見て取れた。 「え、何かしてますっけ、僕。そんなつもりないですけど(笑)。いや、何か、怖くないですか。裏でずっと黙ってて、本番で急に喋り出すのって。自分が逆にゲストの立場だったら、MCにずっとしゃべっててもらってる方が、気が楽だと思うから。『ひるおび』って、2時間も番組があるわりには、あそこに5、6人ゲストがいると、それぞれの方がしゃべるタイミングも難しいと思うんですよ。いつ始まっても、いつ終わってもわからないような感じで自然にやれたらいいなと」 情報番組の総合MCとして「フラットに伝えること」を心がけている。痛ましい事件や災害などを取り上げる際には、特に感情を入れないようにする。