いつも不安ですよ、いつ首切られるんだろうなって――芸人からMCへ「化けた」恵俊彰の考えるキャリア、そして相方への思い
週3~4ペースで通った大学院で、論文の書き方から学ぶ
今年の4月から通っているのは、早稲田大学大学院スポーツ科学研究所の修士課程。きっかけは、青山学院大学の陸上部監督、原晋の勧めだった。大学には進学しなかった恵。「青春の忘れ物」を求めて、早稲田の門を叩いた。 前期は週3、4のペースで通学した。授業が行われるのは夜。最後の授業がスタートするのは、22時に近い。仕事で欠席することもあったが、できるかぎり授業に臨んだ。 「夜中に集まって来る社会人となると、よっぽどやる気のある人ばかり。同窓は五郎丸歩さんなど、アスリートはもちろん、会社員、スポーツジム経営者、介護士など、多種多彩。僕より年上の方もいらっしゃって。いろんな話をするんですよ、楽しくて仕方がない」 年明けには、鋭意執筆中の修士論文を提出する。テーマは「情報番組はスポーツをどう伝えているか」。論文のことで頭がいっぱいだと笑う恵。今年のW杯を自身の番組で伝えながら、他番組の研究にも余念がなかった。 「高校しか出ていないので、論文の書き方なんてさっぱりわからなかったですけど、研究の動機、報告、結果、考察があって。そして結論を結んで、参考文献を整理していくという一連の流れを、きちんと教えていただきました。大学院での学びは、仕事に生きるという面もありますけど、本当に充実しました。今年の僕の漢字一文字は、『学』ですね」
ところで、出演する『ひるおび』を見返すことはあるのだろうか。 「ないです(笑)。それこそ、この番組をはじめた時、裏番組になった『笑っていいとも』のタモリさんの『あしたがあるんだから、もうあしたのことを考えなきゃいけない。反省なんかしないよ』という言葉が、ずっと心に残っていて。ああ、そうだな、俺もそうしようって思って。そこは参考にさせてもらいましたね」 そんな恵だが、俳優として出た作品は、何度も見返すという。 最近は本人役やMC役が多かったが、『下町ロケット』や『マイファミリー』で演じた弁護士役は、俳優・恵俊彰として、強い印象を残した。 「見たいんです、自分が出たところ(笑)。大好きなんですよ、俳優業も。MCとはまったく違う充足感を味わえる仕事です。情報番組って、生で臨機応変に対応していくものですけど、ドラマや映画は、全員が同じ設計図を持ち、準備をして作り上げていく。セリフを言って、自分ではなくて監督のOKで終わるというのが、何かすごく楽しくて。違う人になりきるって、いいじゃないですか。もっとやりたいんです、本当に」