「頑張れ、頑張れ」って言う世の中がしんどい――元引きこもり・「あの」が考える「多様性」と絶望の越え方
「呼び出し先生タナカ」(フジテレビ系)、「オールスター感謝祭’22秋」(TBS系)、「踊る!さんま御殿‼︎」(日本テレビ系)をはじめ、今や連日のようにテレビに出演しているあの。その「あのちゃん」のバックグラウンドには引きこもりだった日々がある。「何年も泥水すすった」「逃げることは決して悪いことじゃない」「今は絶望しかない」と言う一方で、「ぼくすらも当たり前になれば、もっと生きやすい世の中になる」と一縷の望みを語る。その真意を聞いた。(撮影:まくらあさみ/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
何年も何年も泥水をすすってきた
「やっぱり何年も何年も泥水すすった感じはあったけど、動いたから今があるとは思ってて、そのときの自分の行動力は、今でも正しかったって思うし。とにかく周りに決めさせないこと。自分で選択をすることに意味があるから、それを失敗と後から思ったとしても、自分が選んで行動したことは、絶対に正しいと思うし」 かつての自分のように引きこもっている若い子たちに何か届けたい言葉があるか――そう尋ねると、彼女はまっすぐな言葉を語りはじめた。
あのは、売れっ子タレントとしてだけではなく、ミュージシャン、モデルなどの顔も持つ。だが、2013年にアイドルとしてデビューするまで、長い引きこもり生活をしていたことは、あまり知られていない。 中学生時代からクラスになじめない日々を送り、高校生になって心機一転、「JK」として振る舞って周囲になじもうとしたが、数カ月で孤立した経験が、彼女に言葉を続けさせる。 「『変わらないでいてね』と言ってあげたいけど、引きこもりとかいじめの問題って、そんな簡単じゃないと思うんです。それは自分が経験して、身に染みて思ったこと。頑張るってこともやめてほしいし、逃げてほしい。逃げるってことは、『逃げ』じゃなくて行動力であるから。ぼくは家の中へ逃げたけど、そっから『またこのままじゃ死ぬ』ってなって逃げて今があるから、逃げることは決して悪いことじゃない」