「科学成果しっかり地球に」諏訪さんと米田さん、宇宙飛行士正式認定
宇宙飛行士となるための基礎訓練を受けてきた諏訪理(まこと)さん(47)と米田(よねだ)あゆさん(29)を飛行士として正式に認定したと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表した。JAXAの飛行士認定は2011年以来13年ぶりで、月面の活動も視野に、将来にわたり宇宙開発を支える人材となる。会見した2人は「科学成果をしっかり地球に届けたい」「若者に宇宙の魅力を伝えたい」と、喜びや意気込みを語った。飛行士候補に選ばれた昨年2月の会見で、志望動機などを熱く語っていた2人。訓練の成果をよどみなく語り、その後の成長をうかがわせた。
月探査「アルテミス」見据え、意気込み
前職は諏訪さんが世界銀行上級防災専門官、米田さんが日本赤十字社医療センター外科医。応募者4127人の中から飛行士候補に選出され、米田さんは昨年4月、諏訪さんは同7月にJAXAに入職。理工学や国際宇宙ステーション(ISS)の知識、サバイバル技術、運動、語学、取材対応などの訓練を国内外で受けてきた。JAXAの現役飛行士は2人が加わり、7人となった。2010年に15日間の初飛行をした山崎直子さん(53)が翌年に退職して以来、女性の不在が続いていたが、米田さんの認定により復活した。
2人はさらに米航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センター(テキサス州ヒューストン)を拠点に訓練を継続する。今後、国際的な調整によって具体的な飛行計画が決まれば、それに応じた訓練を開始することになる。
認定証は先月21日、2人に渡された。2日後に都内で行われた会見で、2人は晴れ晴れとした表情を浮かべ登壇。冒頭で諏訪さんは「宇宙開発はISSから探査の時代へと、過渡期にある。商業の参入もある。変わる環境に適応しつつ貢献できる飛行士を目指したい。しっかりと科学的成果などを創出し、地球に届けたい」、米田さんは「(国際協力で月を探査する)アルテミス計画の下、人類が月、そして火星に向かう中でどう活躍していけるかしっかり考えたい。若い世代に宇宙の魅力や、一生懸命取り組むことの楽しさを伝えられる飛行士になりたい」と決意を語った。