「科学成果しっかり地球に」諏訪さんと米田さん、宇宙飛行士正式認定
日米は今年4月、アルテミス計画で日本人2人が月面着陸することに、正式に合意している。日本が有人月面探査車を提供する一方、米国は日本人の着陸を「なるべく早期に」実現するよう考慮する。同計画で米国人以外の月面着陸は、日本人が初めてになるという。実現すれば、諏訪さんと米田さんを含む、JAXA飛行士のいずれかが月面に立つ。2人の基礎訓練では月面探査の素養を身に着けるため、地質学の野外実習も行った。なお2人には初飛行も含め、ISSのような地球低軌道の基地などに向かう機会もあり得る。
月探査をめぐり、諏訪さんは「技術開発が進むのを間近で見ながら訓練を受けられ、本当に幸せ。月を目指すことには科学的意義があり、それ自体がわくわくすることでもある。自分ができることを考えつつ、訓練に励みたい」、米田さんは「月に行くには何が必要か、改めて考えさせられている」と、それぞれ語った。
月面を日本車が走る日「待ち遠しい」
日本がアルテミス計画で提供する有人月面探査車は「ルナクルーザー」。月面を走って探査しながら、車内で飛行士2人が30日ほど生活できる。半世紀前の米アポロ計画で使われた探査車がバギーのような非与圧型だったのに対し、ルナクルーザーは車内でシャツで暮らせる与圧型。トヨタ自動車が本格開発を進め、ISSの日本実験棟「きぼう」開発などの実績を持つ三菱重工業なども連携している。
ルナクルーザーについて、諏訪さんは「モックアップ(模型)の中を見て、知恵とアイデア、日本が培ってきた技術が詰まっていると感じた。実現までには技術的課題があるが、楽しそうに開発に取り組まれていて本当に心強い気がした。月面を走る姿を想像するとわくわくする。シミュレーターの体験も面白かった」と語った。
米田さんは「飛行士が滞在しやすいようにと、すごく考えられている印象を受けた。内部の空間などの制限があり、飛行士が滞在するためにいろいろな課題がある中で、開発者の皆さんが、培ってきた技術だけでなく、新たな可能性を深く考えていたのが印象的。JAXAや企業の方が一緒に、宇宙開発を盛り上げていく意気込みを感じた。待ち遠しく、もちろん運転してみたい」とした。