「親のうんちをチェックして健康状態の確認を」 色とカタチで何が分かる? 専門家が指南「タブー視はもうやめましょう」
“平便”を知るべし
うんちには個人差があり、食事の内容で状態も変わる。だから、自分のスタンダードを知ることが大切だ。 「私たちには平熱がありますよね。36度台の人が多いとは思いますが、35度台もいれば、37度台もいる。自身の平熱と比較して、体の変調を確認しているはずです。同じように、“平便(へいべん)”も知るべきです」 平時のうんちの色、カタチを知れば、それを基準に病気の発現を察知できる。 「平便よりも黒いうんちや細いうんちが、1週間のうち3~4日ある場合、消化器系になにかが起きている可能性が高い。診察を受けるべきでしょう」 さらに50代から60代は、親のうんちも見なければならない世代に入る。 社会の高齢化はぐんぐん加速。日本の人口のうち65歳以上の高齢者はおよそ3割。生産年齢とされている15~64歳の割合はおよそ6割。お年寄り1人を2人で支える勘定になる。 「70代、80代を迎えた親は、徐々に自力でうんちができなくなります。その世話をしなくてはいけないのが、50代、60代です。かつては、自力で排泄できなくなるころはもう寿命でした。だから多くの場合、親のシモの世話をする期間は長くても数年だったはずです。しかし、医療の進歩により、自力で排泄できなくなっても、10年くらいは親のケアをする覚悟が必要になりました」
ピンピンコロリは「超幻想」
日本人の大腸がんの5年生存率は男性が70.7%、女性が71.1%。胃がんが70.4%と69.9%。5年生存率が10%台前半のすい臓がんを含むすべてのがんでは62.8%と70.8%(以上、前掲「生存率集計」より)。 がん、心筋梗塞、脳卒中になっても、手術をはじめとする医療技術の進歩によって多くの命は救われ、治療の成績は年々向上している。 「人がなかなか死なない時代になりました。そのこと自体は喜ぶべきでしょう。しかし、生きていれば食事をするし、排泄もします。そのケアは、子どもが行うことになります。がんの手術で体力が衰えて認知症が始まっても、脳卒中や心筋梗塞の後遺症でまひになっても生き続けます。寿命=健康長寿ではないのが現状です。よくピンピンコロリといいますよね。年齢を重ねてもピンピンしていて、最期はコロリと逝く。ほとんどのお年寄りは、そのイメージでいらっしゃる。それは超幻想だと思ってください。ピンピンコロリは交通事故や急性のがんで亡くなるケースくらいです」