「親のうんちをチェックして健康状態の確認を」 色とカタチで何が分かる? 専門家が指南「タブー視はもうやめましょう」
大腸がんか、痔か
消化器系にトラブルが発生すると、多くの場合、うんちの色に変化がある。 「胃や十二指腸に腫瘍や潰瘍ができて出血すると、血液と胃酸が混じり、イカ墨のような真っ黒なうんちになります。胃もたれ、痛み、吐き気を伴うのが特徴です。腫瘍ができやすいのは胃の出入り口あたり。食べ物の通り道が狭まり、和食をはじめ、消化しやすい食事が欲しくなります」 小腸、大腸の病気も、排泄時の出血で見つけられる。 「小腸がんの症例は多くありませんが、大腸がんの患者さんはずっと減りません。とくに直腸やS状結腸はがんになりやすい。上行結腸のがんはうんちが黒っぽくなることもありますが、肛門に近い直腸やS状結腸のがんは鮮血が混じります」 ただし肛門から出血があると、痔と判断しがちだ。 「大腸がんか、痔か。排便時の出血ではなかなか区別できません」 痔は大きく3種類。便秘による硬いうんちなどで肛門周辺が傷つく裂肛(切れ痔)。肛門周辺に血液が滞り血豆のような状態になる痔核(いぼ痔)。肛門内に管状の穴が開き、中が化膿する痔瘻(穴痔)。裂肛と、肛門の内側にできる内痔核はうんちに赤い血液が混ざる。痔のせいで、大腸がんに気付かないこともあるらしい。 「排泄時の出血で見つけた痔にドクターの意識がいき、がんを見逃がすケースはときどき耳にします」
下痢ですい臓がんが見つかるケースも
観便の際、うんちの色とともにチェックするべきなのはカタチだ。 「大腸にがんができると、管が狭まり、うんちが細くなります。うんちはさまざまです。コロコロ状の硬いもの。バナナ状のシェイプ、とぐろ状、一本ものなど理想的なもの。水分が多かったり水様状だったりの下痢。下痢が続いたことで、すい臓がんが見つかるケースもある。すい臓の、消化酵素が出る場所をがんがふさぐと下痢が続きます。すい臓は他の臓器に囲まれているのでがんが見つかりづらく、症状が現れたときにはかなり進行しています。ステージIII、IVの5年生存率はずっと10%以下です。そんながんでも、排泄に発見のヒントがあります」