サッカー“五輪代表”が新型コロナ禍で来日不確定のアルゼンチン戦を決めた切実な理由とは?
派遣義務の対象はフル代表だけに限定されている事情とも相まって、もともと高かった年代別代表選手を招集する上でのハードルが、さらに険しくなるおそれもある。JFAの技術委員会はヨーロッパに設けている拠点を介して、候補選手がプレーする国の検疫体制などに関する資料をすでに収集している。その上で、事情を説明しながら各クラブと粘り強く交渉していくしかないと反町委員長は前をみすえた。 「所属するチーム、州、県、市、国によってそれぞれ状況が違ってくる。ただ、私たちとしてはめったにない機会で、オリンピックへ向けたベストチームを作っていきたい。クラブを含めて交渉していく」 アルゼンチンは3月の国際Aマッチデーでウルグアイ、ブラジル両代表とカタールワールドカップ南米予選を戦う。フル代表ですでに11ゴールをあげている、23歳のFWラウタロ・マルティネス(インテル・ミラノ)をはじめとする東京五輪世代は、まず間違いなく南米予選に招集される。 現時点における最強メンバーを招集できない状況は、日本にも当てはまる。30日にフクダ電子アリーナで予定される、モンゴル代表とのカタールワールドカップ・アジア2次予選が開催される場合には、フル代表でも戦力となっている東京五輪世代の選手は原則として前者を優先させる。 起こりうるさまざまな事態を見越しながら、北九州への移動にチャーター便を使用するなど、ガイドラインに沿って感染防止対策を厳重に進めていく方針も確認された。一方でアルゼンチンもモンゴルも入国できなかった場合のプランBの準備も含めて、反町委員長は「政府の方針に従うのが私たちのスタンス。できる限りの準備をして、天命を待つしかない」と自らに言い聞かせるように力を込めた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)